検索窓
今日:101 hit、昨日:209 hit、合計:120,629 hit

ページ2

「楽しいやろ、アイツらのバレーボール
ほんまに楽しそうにプレーすんねん、侑達は」

北さんは少し笑って

「確かに、あいつはキツい言い方したり王様みたいな強引なプレーをしとるようにも見えるけど…

侑はちゃんと分かってんねん

どこにトスを出すのが最善で、スパイカーがどこまでついてこられるか

その限界までな」

『…』

「あいつが怒るんは、本来出来るはずの力を加減や妥協した時や

あいつにはそれが見えてるから怒るし

言われた側も分かっとるから反抗したとしても侑を嫌いにはならへんのやろな」

『…』

それが、飛雄と侑の違い?

「まあ、侑に関しては治の存在もデカいと思うわ

あいつらの場合、信頼しあってるというよりも

こいつは出来る、って確信がある
全部分かっとるって感じやろ」

息ピッタリの2人のプレー

「思ってることをちゃんと伝えて言い合える関係っちゅうのは簡単なようで難しいことやし

殴り合いのケンカ勃発すんのはアイツらの悪いとこやけど、あの双子にとってお互いの存在は何よりも影響が強いんやろうと思う」

『…』

「治は侑から絶対に逃げへんし、侑も治から逃げへん

正面からぶつかることしか知らんねん、あいつらは」

もし

飛雄から逃げずに、私が向き合ってあげられていたら

“りなちゃんだって逃げたくせに”

「そろそろみんな来るで、支度しや」

北さんは立ち上がって倉庫を出ていく


『……』



「ん、おはようA」

倉庫の戸が開いて、ボールを取りに来た治が顔を覗かせた

『おはよう』


「お、おはよう…」

治の肩越しからひょっこり顔を出す侑にも挨拶を返して、練習が始まる


「おいクソツム!ホームランかっ飛ばしてるんちゃうぞ!」

「分かっとるわ!!」

侑の放ったボールが大きくバウンドして私の方へ飛んでくるのをキャッチする


「あ、」

侑が顔を上げて

「すまん、えと…」

眉をひそめながら


「ありがとう、」

なんて言うから

すこし笑いそうになってしまう



「あ、南!ちょっとええか」

『はい?』

片付けをしている途中、黒須監督に呼ばれて

“やっとくよ”と倫が目で合図をくれる


「急にすまんな、予算のことでちょっとな」

『予算?』

「インハイで保護者会やらOB会から寄付金が集まってんねん」

帳簿を取り出した監督が寄付金を足したページを開く


『!?』

思わず2度見してしまう程金額に

「これが稲荷崎なんやで」

あの声援、あの観客の数

これが全国3位、と改めて圧倒される

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (81 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
279人がお気に入り
設定タグ:北信介 , 宮侑 , 宮治
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りな∞ | 作成日時:2023年11月6日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。