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ページ7

あまりにも探しすぎたせいか

私の目は、想い人をしっかりと捉えてしまった


なにか、話しかけなければ

なにか、なにか


『あ、あのっ、』

北さんと、隣の人が振り向く


『バ、バレー部の、』

酸欠状態で脳に血が回らない

『マネージャーやらせてください!』

自分からこんな声が出るのかと驚くくらい

裏返った声と不自然すぎるファーストコンタクト


「うちは女子マネージャー、とってないねん
選手で回しとるから」

北さんの声は

記憶より少し低く感じて

だけど機械みたいに無機質な所は変わってない


『ま、毎日やります!

体調管理も、掃除も、挨拶も

み、皆さんの役に立てること何でもやります!』

「いや、マネージャーは体調管理要らんやろ」

ほとんど顔なんて入ってこない、北さんの隣の茶色い人の声

「俺に決める権限は無いから
監督のとこ行って話してみたらどうや?」

『え…』

「黒須法宗さん」

「おい、北?」

「行くなら案内するけど、どうするん?」

『お願いします!』

静かに頷いた北さんはおいで、と歩き始める


「どうしたん?今まで女子マネなんておらんかったやん」

オロオロしながら問いかける先輩に

「俺は、チームのためを思って貢献してくれる人やったら文句ないねん

女子でも男子でもマネージャーでも関係ない」


全然、変わってない北さん


全く変わってない、私の想い

人は不純な動機だと言うだろう

それでも私は

少しでも、北さんと一緒に

この人の背中を近くで見ていたかった


「ええんちゃうか?やってみたらええよ」

『…いいんですか?』

「ここんとこ成績も上がってきて雑用の手が必要になることも増えてきたし

マネージャーにお願いするようなとこを担ってくれてんのは北やからな

その北からの紹介なら断る理由はないやろ」

唖然とする先輩の横で、北さんは飄々とした顔をしていた

「その代わり、

稲荷崎(うち)は厳しいで」

監督はニッコリと笑う

やれるもんならやってみろと言わんばかりの笑顔だ


『か、覚悟決めて頑張ります』

何を返せばいいのか分からなかった私が
何とか捻り出した言葉に

監督と、黒肌の先輩は笑った

「新入生は仮入部期間やけど、
スポーツ推薦組は春休みから練習来とるから」

北さんは歩きながら説明してくれる

「バレーもマネも未経験やねんな?」

『は、はい』

「ルールとかスコアの書き方なんかはおいおい覚えてけばええけど

最低限、部員の顔と名前だけは死ぬ気で覚えや」

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りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

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