検索窓
今日:348 hit、昨日:311 hit、合計:144,188 hit

ページ42

「おい、Aと侑戻ってきたぞ!」

彼の捜索をしていた銀が私たちに気付く

「Aと侑?なんで…」

『ボトル探してたら見つけた』

泣いているのを見られたことを引き目に感じているのか

大人しい侑

(別に情けないとか弱みを握ったなんて思ってないけどな)


『アイシング、20分はして欲しいからバスの中でとってね
ゴミ袋も一緒に渡すから終わったらそれに入れて』

「…っす、」



「A、ボトルとクーラーボックス以外はもうバス積んだよ」

『倫、ありがとう。ビブス枚数大丈夫だった?』

「うん。数えたよ

銀が」

荷物を持ってバスに向かう


「A窓側いいよ。疲れてんでしょ」

『いや選手の方が疲れてるから
倫が窓側行きなよ』


「俺今日試合出てないし、寝ないから平気」

『でも』

「いいから早く。座んないと出発出来ない」

言い負かされて窓側の席に座る

「寝れば?1日気張ってて限界でしょ」

『大丈夫』

「顔に出てるから
どうせ昨日も緊張してろくに寝れてないんでしょ」

『…』


「ついたら起こしてやるから寝てなよ」

あ、これ使う?って愛用のネックピローを差し出そうとする彼に首を振って

『いや、それはいいんだけど

なんで分かるの?』

「ん?」

インターハイ前、北さんは緊張する理由が分からないと言った


“いつも以上の力を発揮しようとするから緊張するんやろ

だって飯食うたりクソしたり
毎日の事には緊張なんてせんやんか

バレーかて同じやろ
練習でできとる事やったら緊張なんかせんやろ?”

アランさんは、そんな北さんを機械なのではないか、と言ったけど

それは北さんの努力が前提として

彼の積み重ねには“信頼”があるから言えることだと思う


そう言えるまで、ひたすら繰り返し努力するから
失敗などすることがないと言い切れる



一方、失敗は出来ないとカチコチになる私はやはり北さんみたいにはなれないようで


「治とか銀は、女版北さんなんていうけど、全然でしょ
Aは完璧主義者なくせに緊張しいだし

皆が思ってる程強くない」

『…見抜くな』

「はは」

感情のこもってない倫の笑みを睨みながら、私は目をつぶる

ついうたた寝をしてしまって、目が覚めると

イヤホンをした倫がいつも通りケータイをみている

その画面には

さっきの稲荷崎の試合

真剣な横顔を見ながら私はもう一度目を閉じる

(私だって知ってるよ

倫は、皆が思うほど無気力でも無愛想でもない

ちゃんと、バレー愛のある優しい人だ)

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (67 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
215人がお気に入り
設定タグ:北信介 , 宮侑 , 宮治
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。