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運動会では

かけっこで1位になると、お父さんもお母さんも嬉しそうに褒めてくれた

リレーではアンカーを任されて

1位でゴールテープを切るのが、最高に気持ちよかった


走ることが大好きだったのに


いつの間にか


(もっと、もっと速く…)

(追いつかなきゃ、)

(なんで追いつけないの、
もっと、もっと速くならなきゃいけないのに…!)


走ることが苦しくなって

転校の話を聞いた時はラッキーだと思った

(もう、走らなくて…済む)




「もったいないよ!向こうでも続けるべきだよ
だって、Aは走るの好き___」

『天才には、凡人の気持ち、わかんないよ』



『カッコ悪い、情けない自分と向き合うのが嫌で
プライドだけは一丁前に高いから…

色んなものを犠牲にして
逃げてきたんです』


「…反省が出来てるなら、次は行動やな」

私の過去の話には一切触れず、お兄さんはまた当然のように言った

「言うたやろ。逃げることは悪いことやない

大事なんは反省して、そのままで終わらず次に活かすことや」

でも、私はもう陸上を続けたいなんて…


「同じものやなくてもええ
陸上やなくても」

お兄さんは立ち上がってボールに触れる

「毎日やんねん

体調管理、掃除、挨拶…

バレーボール」

ずっと無機質だと思っていたお兄さんの声に熱が入った気がした

「ばあちゃんが言うてた
神さんはどこにでもおるから、きっと見てるって」

こんなにクールそうに見えるこの人から、おばあちゃんの話が出てくるなんて思わなくて

「反復、継続、丁寧は心地ええんや

別に神さんなんておらんくても、神さんの為にやっとるわけやないしな」

お兄さんから、目が離せなかった

「そのプライドの高さと、優しさがあれば君は大丈夫や」

『優しさ…?』

「友達に、迷惑かけたないから練習してるんやろ?」


声をかけてくれた桃ちゃん

責めることなく、カバーし続けてくれたチームのメンバー

「特別上手いプレーなんてせんでいい
一つ一つ丁寧に

ちゃんと、やんねん」


ストン、って落ちる音が聞こえた

・・・

「Aちゃん!いつの間にそんな上達したん!?」

『みんなに迷惑かけないように自主練を…』

桃ちゃんを含むみんなはぽかんとして

「なにそれ!意外と熱血なん!南さん」
「水くさいやん、呼んでや!その自主練」
「皆おったら自主練にならんやん」

1歩、踏み出してみたら

「やっぱり、Aちゃんに声掛けて良かったぁ」

ちゃんと、前を歩けるって
気付けたんです

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りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

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