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ページ38

『なんで?』

「あいつの態度、どうみたってAに対してマイナスでしかないし俺やったら普通に腹立つと思うねん

でも、Aってそういうの顔にも出さんし文句も言わんやろ

ほんまはどう思ってんのかなって」


もちろん、彼の言動の全てをまったく気にしてない、とは言えない

怖いって思ってるのも事実だけど

『言葉にするの難しいけど、寂しい…かな』

「…は?」

『私に見せる顔と、みんなといる時の顔が全然違うから

…いつもしかめ面させてしまってるなぁって
私がいることで居心地悪い思いをさせてるのは、申し訳ないなって思うこともある』

「…」

『少しでもバレーをやりやすい環境を作ってあげられるのが1番だけど


…いつか、私にもあんな風に笑ってて欲しいなって思うよ』

だってそれは

【仲間】って認めて貰えたってことでしょう?

これは、みんなに思ってるって付け足す私に治はゼリーを口に入れたまま黙っていた

『信頼してない人が自分の大事な場所にいるってストレスだと思うから

少しでも信用して貰えるように頑張るよ』


「…Aってツムのこと好きなん?」

『好きだよ

向こうは嫌がるだろうけど』

裏表ない、真っ直ぐで努力家な彼を

『尊敬してる』

「…」

『治も倫も銀も、先輩達もみんな尊敬してるし、好きだよ』


床と擦れるシューズの音

飛び交うボールが地面に叩きつけられる音

「レフトー!」
「ナイスキー!」

体育館に響く声と

みんなの頬を伝う汗

『こんなに頑張ってる人達、毎日見てて好きにならないわけがないでしょ』


「!」

治は少し笑って

「俺も、A結構好きやで」

『おにぎりあげてるからでしょ』

「そこも好き」

帰りのバスに揺られて、夕焼けの空を眺めながら帰ったこの日のことを

私は忘れないと思う


「なぁ、なんで髪切ったん?」

治が私の髪に触れる


『長いと洗ったり乾かすの大変なんだよね』

「ほーん」


県内1位通過で全国を控え


メンバーに組み込まれた治は小さくピースをしてきた

私もガッツポーズを返すと、きょとんとして
その後にくっくと笑う

侑と比べると無愛想な方だと思っていたけれど
そうでもなく、思っていたより分かりやすい子で


「A。暑い。帰りチューペット」

『昨日も食べたじゃん』

「いいから。早く、コンビニ」


寮はすぐそこなのに、いつもコンビニに寄るとバス停までついてくる倫と帰ったり

彼らと少しずつ距離を縮めながら夏を迎えた

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りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

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