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ページ37

『サーブの時に音があると集中が乱れるみたいなんです、
…御協力お願いします』

私は頭を下げて急いでベンチに戻る


「どこいってたん?」

『ん。ちょっと』

治からバインダーを受け取りコートに目をうつす

『吹奏楽部の人達にお願いに…
まぁ、その前に宮君自身で何とかしたから意味なかったけど』

「…わざわざ言いに行ったん?」

『少しでもやりやすくなるならその方がいいと思って』

「…ほーん」

2本目もサービスエースを掴み取った侑はキラキラした表情で嬉しそうに笑った


「サムー!見たか!俺のサーブ!」

「はいはいすごいすごいー」

治に向ける満点の笑顔は

(可愛いんだけどな)

ファンが出来るのもうなずける

いつか

いつか、彼は私にもこんな風に笑ってくれるだろうか


私に見せる冷たい瞳に
少しだけ寂しくなった



試合が終わって、ボトルを流していると

誰かが隣で作業を始めた

『治?』

「…手伝う」

『でも…』

「俺らもう自分の支度終わったし、本来片付け1年の仕事やから」

『…ありがとう』

「A、これはどーすんの」

『洗剤で洗う。こっちにあるやつ』

「ん、了解」

倫や銀まで手を貸してくれて

『助かったけど、みんなどうして急に…』

「いや、いつもこれをAは1人でやってたんやな、って思って」

マネージャーってそういうものでは?

という私の心の声を察したように倫はふっと笑った

「尾白さんに言われたんだよ

昨年は率先して北さんが指示を出してくれてたんだって
お前らは恵まれてるけど、自惚れるなよって」

インターハイ県予選準決勝

「いつもありがとうな、A」

ほんの少し、泣きそうになってしまったのは
彼らには一生内緒にしようと思った


荷物を持ってみんなの待つバスへ向かう


「お前らで最後やな?」

『はい。忘れ物も大丈夫でした』

「おん、ありがとう
頼もしいな」


北さんに報告をして座席に着く

「あれ、治、侑の隣行かないの?」

「行くわけないやろ。帰りまでこんなやかましい奴の相手してられるかい」

倫の言葉に首を振った治が私の隣に座った

「俺ここ」

『…?』

「A、なんか持ってるやろ。お腹すいた」

目的は私の捕食か、と半分呆れながら

凍らせてもってきたゼリーを渡す

『なんで分かったの?』

「何となくやけど、Aドラえもんやからな」

『なにそれ』

「なぁ、なんでツムに怒らんの?
嫌いちゃうの?」

『え?』

治の真っ直ぐな瞳が私を捉えた

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りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

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