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ページ34

「おはよう。今日も早いな」

『おはようございます』


「なんや、髪切ったんか?」

『え、』

「似合うとるな」


自分の髪を指しながら目を細めて優しく微笑む北さん


『…ぁ、ありがとうございます…』

長かった髪を、バッサリと切った

結べないくらいのショート


陸上を辞めてからはずっと伸ばしていたから

少し変な感じだけど

(北さんってそーゆーの気付くタイプなんだ…)


あぁ、でも

誰かの調子が悪いとか

逆に調子がいい時とか

そういうのもちゃんと、よく見てる人だ


「練習試合とかも増えてドタバタしとったけどどうや?
慣れてきたか?」

『はい、なんとか』

試合はいつもとやることが少し違うから、まだ難しいけど

「スコアの付け方、どっかでちゃんと教えたらなあかんと思ってたんやけど…

いつの間に出来るようになったん?」

『…自分で少し勉強したのと…、黒須監督や倫太郎にも少し教えて貰ったりして』

「ほぉか」

北さんは頷いて

「南はほんまに頑張り屋さんやな」

『…っ、』

認めて欲しい訳じゃない
努力を認めて欲しくてやってる訳じゃない

これは、本当だけど


でも、誰かに頑張りを認めてもらえるのは

凄く、嬉しいことで

「この後、時間あるか?
手ぇ貸して欲しい事があんねん」

『?はい』



北さんが倉庫の奥から、取り出したのは

『これ…』

「横断幕や

ここんとこ、雨が続いとったからな
晴れたら1回綺麗にしたらなあかんと思っとったんよ」

『……』


「どう思う?このスローガン」

『…私、…は』



「お、横断幕か
いよいよインハイやもんな」


外に干した横断幕を見上げて黒須監督が呟く

「ありがとうな、北、南」

【思い出なんかいらん】

黒い布に白い文字で記されたスローガン

私の印象は

“稲荷崎らしい”だった


高校の部活のテーマにしては…
と圧倒されたけれど


練習試合をして分かったことは

稲荷崎は名門なだけあって、かなり強い

近辺の学校との試合ではほとんど負け無しだし


普段何気なく話してくれるアランさんや

倫も、治も、銀も


侑も


彼らはみんな中学時代から注目されていた選手なだけあってすごく上手い

試合を見ていると改めて感じさせられる圧倒的な実力


インターハイ予選

稲荷崎はシード校で、参戦は後半になってからだったけれど

ベスト8

ベスト4

準決勝、決勝へと順調にコマを進め

全国への切符を掴み取ったが


私は初の公式戦に息を飲むことになった

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りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

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