・ ページ33
〜side Atsumu
放課後になって
「んじゃ、頑張って」
「だから撮んなや角名！」
ケータイ片手にさっさと出ていく角名を睨みながら、先生に押し付けられたプリントに目を通す
(全っ然分からへん)
目の前でサラサラと問題を進めている南
授業中居眠りしていたからと同じ補習プリントを解かされとる
「なんやねん確率って！しらんわそんなん！運次第やろ！」
考えたってしゃーないんやから、黙ってクジ引かんかい
『机けるのやめて』
イラつきのあまり、足でまた南の椅子を蹴りあげる
「俺はこんなんしてる場合ちゃうねん！はよ部活行かなあかんのに…」
『…11点取るのが悪いんでしょ』
「12点や。勝手に減らすな
今は大会前の大事な時期やねん
バレーのこと以外考えてる余裕なんてない
1秒でもボール触っときたいねん」
インハイに向けて、メンバー発表があったんはついこないだの事で
ー
「アラン君！またよろしゅー！」
「1年からメンバー入りとは相変わらずやな、侑」
「ふっふ」
ー
納得したような顔をした南が
『分かんないの、どこ？』
と覗き込む
ふわっと香る爽やかな石鹸の匂い
「ち、近いわ！
お前の顔見るの不愉快や言うてるやろ！」
『あ、ごめん』
南はあっさり引くとまた黙って机に向かい、開くことのなかった教科書を時折めくり始める
そんなに素直に引かれるとこっちもやりづらいねんけど。
席をたった南は1枚のルーズリーフを俺の机に置く
「なに__」
『解き方と、教科書の該当ページ
…写すだけじゃ北さんに怒られちゃうでしょ』
「なんでそんなもん、」
『私に借りを作るのが嫌なのは分かるけど
プライドよりはやくコートに行ってバレーする方が今は大事なんじゃない？』
それだけ言って去って行く
イライラしながらプリントに目をやると
わかりやすく公式当てはめた解き方と
確率の問題にはイラスト付きで分かりやすく丁寧に説明書きがされていた
「…意味わからん」
・・・
「すんません、遅れました」
部室のドアを開けると
「あれ？早かったね。練習終わるまでかかると思ってたんだけど」
「んな訳ないやろ…」
ニヤニヤしている角名を押しのけて着替えを始める
「侑」
「はい!?」
「答え写したわけちゃうよな？」
「は、はい」
北さんの真っ直ぐな瞳にたじろぎながら
「ほんまやな？」
「っす！ホンマです」
「ならええわ。はよ支度し」
皆は先に体育館に向かう
(…ほんまに写しただけちゃうし)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 215人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます！これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります！楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (
レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました！！続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りな∞
| 作成日時：2023年10月9日 4時
