検索窓
今日:151 hit、昨日:146 hit、合計:143,680 hit

ページ29

『クセになっちゃったからかなぁ』

「?」

『治にもらったあんぱんと牛乳のセット

なんでこの2つなんだろうって不思議に思ってたんだけど、いつの間にかこれを待ってる自分がいた、

みたいな』

上手く具現化出来なくて治を見ると

光の速さでプリンを口に運んでいた治が手を止めた

「なんやそれ」

『分かんない。治がおにぎり飽きないのと一緒だよ』

「日本人たるもの白米は主食やろ」

残り1口のプリンを完食すると

「ほんならそのセット、完成させへん訳にはいかんな」

いつもくれる紙パックの牛乳

『くれるの?』

「おん、Aちっこいから牛乳飲んで背ぇ伸ばし」

『牛乳飲んでも骨が太くなるだけで身長が伸びることは科学的には証明されてないんだよ』

「ようそんなこと知っとるな」

『身長伸ばしたくて、牛乳毎日飲んでたけど
治みたいにおっきくなれなかったからね』

良いなぁって思う

倫もだけど、バレー部内では小柄な人ですら
世間一般で考えれば背の高い人が多い

「Aも大きくなりたかったん?」

『…本当はね』

「女の子はちっちゃくても可愛ええけどな」

『私は小さくて可愛いが似合うようなキャラじゃないし、
高いもの取りにくいとか不便も多いからもう少し身長欲しいよ』

私の前を走るスプリンター達は

みんな、治達のように背が高くて、長い足を持っていた


「好き嫌いせんで毎日飯食って寝たらまだこれから分からんで」

『第2成長期?…来るかなぁ』

「俺はまだまだおっきくなるもん」

いつの間にか2つ目のプリンもお腹に収めたクマさんは

のんびり立ち上がって

「戻ろか」

と声をかける


『…治は私のこと嫌いじゃないの?』

「なんで?」


『…最初とか、特に…歓迎されてないの分かってたし
今だって私のせいでみんなが…』

「んー、言葉にすんのムズいけど

まぁ、俺らも色々あって

最初は男目当てとか、バレー部のマネージャーって肩書きが欲しいだけなんちゃうかって思っててん

でも、Aはそうでもないんかなーって」

『…』

「おにぎり美味しく作れる人に悪い人はおらんしな」

『その考え方は本当に危ないからやめた方がいいと思う』

「あ、予鈴鳴ったで
そろそろホンマに戻らな」


・・・

2年生不在の2日目

北さんのいないこの期間、私は当然一番乗りで

いつもの通り朝のルーティンにとりかかる


誰もいないと思って気を抜いたのがいけなかった


誰も来るはずのない時間にガラ、と音がした

『北…さ、』

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (67 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
215人がお気に入り
設定タグ:北信介 , 宮侑 , 宮治
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。