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朝5時、起床

6時に学校について、今日は私が鍵を開ける


だいぶ慣れてきた毎日なのに

今日からは、みんなと同じボルドーカラーのジャージに腕を通す

体育館に向かうと、ちょうど北さんが着いたところだった


『おはようございます』

「おはようさん」

いつも通りの挨拶の後

「…ジャージ似合うとるやん」

『あ、ありがとうございます』


不意に北さんが優しく笑うから
朝から心臓に悪い


昨日、部活が終わったあとには

言葉にならない高揚をぶつける私に、倫はコンビニでチューペットを買ってくれた


「Aってさ、もっと無愛想で感情とか分かんないタイプだと思ってたけど

結構顔に出るよね」

『無愛想って倫が言う?』

「うるさい

てか、どーすんの。特訓はもういいんじゃない?」

『んー、』

「…あのさ、昼の練習が無くなっても俺、弁当欲しいんだけど」

食費払うし。と続ける倫に

『バレーのこと教えてくれない?』

「は?」

『それより私にバレーを教えて欲しい』

スクバから取り出した本に、倫はゲッと声を漏らした

バレー初心者に向けたルールなどの基礎ガイドブックを数冊

「なにこれ」

『勉強してるんだけど、どうしても分からないことがあって…』

「教えるのはいいけど、そーゆーのは見て習うのが1番だよ

もうすぐシーズンが始まる。
試合見るのが1番分かりやすいから」

『…そういうもん?』

「まぁ、弁当の謝礼分位は働きますよ」




朝練が終わり着替えを済ませて教室に向かおうとすると

「Aちゃん」

私を呼び止めたのは

『治君?』

「あんさ、ジャムパンとクリームパンとあんぱんやったらどれが好き?」

なんの質問なのか戸惑う私に真剣な顔の治

『その中なら、あんぱん…?』

「そうなんや。あんぱん、美味いよな」

クエスチョンマークを浮かべる私

「今日もおにぎり、持ってたりする?」

『え?』

「あんぱんと交換せぇへん…?」

『交換?』

「あんな、俺あのおにぎりの味が忘れられんくて
家でも何度も試してん

でもどうしてもあの味にならんくて」

『そんなに気に入ったならあげるよ』

「ええの?」

『うん。私味の違い分かるほどいい舌持ってないし』

「Aちゃんはおにぎりの女神様なんやな」

『はい?』

意味のわからない言葉と共に

おにぎりを手にした治君は上機嫌で隣を歩いている

拝啓、お父さん

正直米の種類の違いなんて分からんと思っていましたが
お父さんのこだわりが彼の役に立てたようです

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りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

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