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みんなで自主練をしていても
私の元へボールが飛んでくると、返せずにそこで止まってしまう
他のクラスとの練習では私ばかりが狙われて
「ナイスカバー！桃！」
フォローしてもらってばかり
「Aちゃん、今日の練習なんやけど…」
『ごめん、用事あるから出れない』
「え、？
あ、そっか…！ほんなら、明日…」
『明日も、明後日も。
…球技大会の日は、ローテーション私が全部外出るから』
「Aちゃ、」
ずっと優しくしてくれた桃ちゃんに背を向けて
私は逃げた
(あの時と、同じだ)
近くの公園で1人、私はボールを上にあげてオーバー、アンダーでとる練習をする
ほとんど続かない自分のセンスの無さには泣きたくなった
(毎回私で止めちゃうより、ましでしょ)
みんなは優しいから
と言うより、桃ちゃんの手前何も言わないけど
“南がいなかったらなぁ”って思ってることは何となく伝わる
(わかってるわいそんなこと)
余計なことを考えていたせいか
『あ゛』
変な方向に飛んでしまったボール
(やば、)
慌てて追いかけると
ポーンと軽やかに上がったボールを
トン、トン、と器用にあげる男の人
(中学生…？いや、高校生か、)
「これ、自分の？」
『え、あ、はい。すみません』
「はい」
ふわり、と飛んできたボールは
すっぽりと私の腕の中に収まる
『あ、ありがとうございます』
背はそこまで高くないけれど、何だかオーラのある人だった
『ど、どうやったらそんな風に上手に出来ますか』
立ち去ろうとしていた男の人が足を止める
「何を？」
『ば、ばれー…』
「…レシーブ？」
『た、多分。れしーぶ、っていうんですか？』
なぜ名前も知らないこの人を引き止めてしまったのかは今も分からない
『さ、サーブも決まらなくて、わたし…その』
「当てどころが悪いんちゃう」
『へ、』
私の腕を見たその人は
「皮下出血、全体に広がってるやろ
なるべく同じとこで当たるようにすんねん」
貸してみ、とボールを上げて同じ位置で打ち続ける
ふわりと向けられたボールを慌ててアンダーで返す
「あとは、膝のバネを使うねん
腕だけで振るんやなくて、当てるだけ
変に力入るから飛びすぎてまうんよ」
淡々と、分析マシーンの様に的確に
だけど丁寧に教えてくれる
『あ！』
私の打ったボールが、ようやく狙っていた通りお兄さんの手元へ届く
「おん、ええやん。
今の感覚忘れんようにな」
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りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます！これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります！楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (
レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました！！続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りな∞
| 作成日時：2023年10月9日 4時
