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ページ20

〜side Atsumu

「…は?」


あのいびってもいびっても能面みたいな顔崩さへんアイツが?

「…誰が?」

「マネさん」

「いつ?」

「あの日」

ハムハムと口いっぱい頬張るサムはなんてことないように言うてるけど


「……」


ホンマは自分でも分かってた

あれは、やりすぎたって


けんかっ早い自覚も、少なからずはあるし

直ぐに辞めると思ってたあいつが

ここまで続くなんて思ってなかったし

空気圧まで調整された綺麗なボール

滑らない体育館

最初こそ戸惑ってたのに今ではメニューに合わせて飲みやすい位置に、飲みやすいタイミングでセットされるドリンク


みんな女子マネなんてって受け入れる気なさそうやったくせに

「おはよう南ちゃん」
「南ちゃん来てくれてから倉庫のもの使いやすくなったわ」

なにより

「南はよう頑張ってるよな」

(北さんまで…)

北さんは表面だけやっていれば認めてくれる程甘い人やない

そんなんは俺やってよーく分かっとる

でも、なんか


後から入ってきたクセに居心地のいいこの場所を壊されるような、そんな気がして


(なんか、アイツを凹ませられること…)

そして、見つけた


(こんな奴、泣いてまえばええんや)

そんで明日からもう来なければええ



そう思ったはずやのに


何を言われても、何をされても表情を崩さないあいつが
今にも泣き出してしまいそうな、そんな顔をした時


(しまった、)

って思った


周りからやりすぎや、と言われて
変に意固地になってもうたけど


「だぁぁぁ!もう!なんっやねん!」

「ビックリするから叫ぶなや侑」

「ぎんー、サムは?」

「治ならボトルに水汲みいったで」

「角名は?」

「さぁ。どっかほっつき歩いてるんちゃう」


その日の自主練は身が入らんくて


(つーか、なんでフォロー入ってんねん、角名も

…サムも)

ってモヤモヤしながら

次の日の朝、当たり前のように体育館におった南に

ほんまは少しだけ安心したことは誰にも言わへん

(サムにやって言われへんわ、こんなん)



授業中、嫌でも目に入る前の席

(プリント回す時とか以外、1回も振り向いたことあらへんねんな)

随分嫌な言葉をかけてる

コイツやって俺の事なんか大嫌いやろって思いながら

『はい』

プリントを回す時は、ちゃんと目を見て渡すとことか

こっちが受け取ったの確認してから手離すとことか


(ほんま、ムカつく)

ムカつくハズやのに


サムが放った、泣いてたって言葉
なんでこんなに気になるんやろ

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りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

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