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『あの、…私、全然役に立てなくてすみませんでした』
「いや、俺こそバレー未経験って聞いてたのに急に押し付けてもうて__」
先輩は何も悪くないのに、謝らせてしまっている
「そらその辺で暇そうに突っ立ってたらボール出しくらい頼みたくなりますわな」
「侑！」
「どーせなんも出来ひんのやったらここにおらんくてええんよ」
「侑。謝りや」
静まり返った空気の中で凛と響く声
「なんで俺が…」
「マネージャーが気に入らんとかそういうの関係なく、わざと脅かすために人の目の前にスパイク打つなんて
試合以外で二度とやるんちゃうぞ」
「…すんません、した…」
「すまんー、遅なった…ってなんかあったんか？」
遅れてやってきた黒須監督に
皆が挨拶をする
「ほら、休憩終わるで
みんな準備しや」
キャプテンの言葉で練習が再開する
倫と北さんを除いて
誰1人私と目を合わせようとはしなかった
「キツかったら帰ってもええで」
『…いえ、大丈夫です。
ご迷惑お掛けしてすみませんでした』
「無理してここに居続けることが正解とは限らんからな」
北さんはそう言い残して練習に戻る
その日は、一日がやけに長く感じた
「「「おつかれっしたー!!」」」
集合の後、いつも通り片付けが始まる
ボトルを回収していると
誰かが足元に転がっていた1本を踏んづけた
「…いいご身分ですねぇ
か弱い女の子ってだけで守ってもらえて。さぞ気分もええやろなぁ」
『宮君』
「…は？」
『さっきは、ちゃんとボールあげられなくてごめんなさい』
「ごめんなさいの意味わかってんの？」
『…え』
「反省してます、もうしませんって意味やねん」
怪訝そうに彼をみる私に
「ほんまに反省してるんやったら誠意見して失せろや」
私は彼の足元の潰れたボトルを拾って
投げ捨てられたビブスも回収する
「こっちで使った分。これも頼むわ」
『ありがとうございます』
顔を上げるとビブスを持った北さん
「ありがとうな、南」
『いえ。洗濯とか、ボトルとかそれくらいしか出来ないので…』
「それくらいってことないやろ
その“それくらい”のこと1つでも誰かがやるから初めて今の“当たり前”が成立してるわけやし」
『……』
いつもなら元気の出る北さんの有難い言葉も
今は、堪えてる涙がこぼれそうで
洗濯機のある部室棟に向かいながら、真っ暗で誰もいない道で涙が零れた
『…っ、ﾋｯｸ…、』
(北さん、やっぱり私はあなたみたいにはなれない)
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りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます！これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります！楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (
レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました！！続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りな∞
| 作成日時：2023年10月9日 4時
