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あれから2日、3日と時は過ぎ

1週間を迎える

朝は6時頃つくように向かい、鍵は私か北さんの早くついた方が開ける


「おはよう、今日も早いな」

『おはようございます』

練習前にするべきルーティーンも掴めてきて
準備にかかる時間も少しは短縮出来るようになった気がする


お互い自分のやりたい作業をして

大体の準備を終えてから、ボールを磨く

今日もよろしくお願いしますって思いをこめて


北さんがボールを丁寧に磨くから、同じように始めた作業

「どうや、慣れてきたか?」

お互いおしゃべりなタイプではないから、挨拶以外の会話はほとんどないけれど

『…少し
いや、全然』

「どっちやねん」

『まだ、難しいです

ボトル置く場所とか、タイミングとか
もっとこうしたら良かったなぁって日々反省を…』

「ほーか」

北さんは手元のボールに目線を落としたままだったけれど
その声はどこか優しくて


「毎朝来なくてもええねんで
俺が自分で好きにやってる事やし」

『私も好きでやってますよ?』

「そんならええけど」


『朝の空気って凄く気持ちいいですね』

早起きをして外に出る

薄暗い空が明るくなっていくのを見るのは気持ちがいい

「そうやな」


静かな朝に
落ち着いた、北さんのトーンの低い声


2人きりのこの時間が何よりも幸せで


逃げてばかりで弱い自分が

この人の背中を追いかけるだけで、自分も強くなれるような

真っ直ぐになれるような、そんな気がするの


(北さんの、役に立ちたい)


・・・


『という訳で、メニューごとでボトルどこにあるとやりやすいか教えて貰えないかな』

「…なにがという訳なの」

『私、まだこういうこと聞けるの角名倫太郎くらいしか…』

「そのフルネーム呼び何とかならない?
敬語だって同級生に使うの不自然だから

こっちもやり辛いわ」

そういえば宮侑にも煽ってんのか?って言われちゃったんだよな…

「いや、へこむとこじゃないだろ
なんであんだけ暴言吐かれて平気なのにダメージ食らってんの」

『なんて呼んだらいい?』

「好きに呼んでくれていいけど」


興味無さそうにケータイをいじっていた彼が

『倫』

私の声に顔を上げた

「倫…て、俺?」

『うん、嫌だった?』


桃ちゃんが、私をAちゃんと呼ぶのも

「桃ってよんでな!」

っていうのも

“お母さんとお父さんがつけてくれた自分だけの名前
沢山呼んでもらえたら嬉しいやん?”


「フルネームからの距離の詰め方バグりすぎ」

倫が笑った

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りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

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