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朝、ビブスを畳んでいるとドアが開いて

『あ、北さん。おはようございます』

北さんがめずらしく目を丸くしていた

「おはよう…」

挨拶も反射に近い弱々しい声で

「自分、何時に来たん」

『えっと、部室に着いたのは5時半くらいですかね…』

「早すぎやろ、」


『!!』

北さんが、笑った

「そんな早うきて何しとったん?」

『ビブス畳んだり…ボールの空気圧確認したりとか…』

「空気圧…?」

昨日の自主練の前にボールを取りに来たみんなが

触った感覚や、下へバウンドさせて

うーん?と首をひねるとポイッとカゴに戻し、新しいボールを探す

そんな光景を見た

仕事を教えてくれた先輩に確認したら


「あー、公式戦前は測るけど、毎日はやらんな
触ってて気づいたやつが空気入れたりとか

曖昧かも」


と言っていたから

私は、触っただけでは分かるようなマジックハンドは持ち合わせていないから

ひとつずつ測って確認するしかない


「あの量、全部やったん?」

『…?はい

明らかにパンクしてるやつとかは弾いてるんですけどあれはどうすれば…』

本日2度目

北さんの笑顔

「やっぱり俺はちゃんと見る目があるみたいやわ」

私に微笑みかけるその笑顔に

私の心は簡単に奪われる

「なかなか手ぇ回らんとこやったから、助かるわ
毎日やる必要はないけどやらな消耗してくもんやからな」

北さんは大切そうにボールを1つ手に取る

「うん、丁寧な仕事や」

満足そうに頷いて

「他に何やろうとしてたん?」

スクイズボトルは後は水を入れるだけの状態にして用意してあるし

『ちょうど、他に出来ることがないか探そうと…』

「ほんならちょっと、手貸してくれるか?」


・・・

「おはざーす」

7時前になって、選手が次々と入ってくる


「「おはよーごさいま…」」

大きな欠伸をしながら声を揃える双子が

私を見るなり、同時に顔を顰めた

「おはようさん」

『おはようございます』

「ざいます…北さん」
「おはようございます、北さん」


「なんで南に挨拶せーへんの?」

北さんの言葉に

「「ざす、」」

双子は不機嫌そうに軽く会釈をした

それぞれ各自ウォーミングアップをして

「あれ?今日ボールの調子ええなぁ
エーボーに当たったわ」

「えーぼーってなんやねん」

「アランくん、そら良い(ええ)ボールに決まってますやん」

「ほんで、まあまあなボールはマーボー」

「「エー坊マー坊天気予報!」」

「それはヤン坊マー坊や」

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りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

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