検索窓
今日:201 hit、昨日:311 hit、合計:144,041 hit

ページ2

高校1年生、春

ずっと心待ちにしていた

念願の稲荷崎高校への入学



中学3年の時、親の離婚で父方に引き取られた私は

父の地元、兵庫へ引っ越してきた

一般的には親権は母親が有利だと言うが

母はだらしのない人で、生活能力もない

安定した職を持つ父の元で、近くに祖父母も住んでいる兵庫で暮らすことを選ぶのは

当然の事だったと思う


何でもコツコツ、真面目な性格は父に似たが


鏡に映る自分の姿は
あまり尊敬することの出来ない、母親にそっくりだ


『お父さん、私の顔みて腹立たない?』

「なんで娘の顔見て腹立つねん」

(だって、お母さんに似てるじゃん)



喧嘩ばかりだった両親


『…仏頂面ってよく言われるから』

「…すまんな、それは多分父さん似や」


父は口数の多い人ではないけれど
喋れば何かとひょうきんな人だった



中3の秋に転校を強いられるという、絶妙なタイミングで離婚して下さりやがった2人のことは

最初こそ恨んではいたものの


今では感謝しかない


だって、私をあの人に出会わせてくれたから



父に似て、口数も少なく愛想のない私は

転校そうそう馴染める訳もなく

「なんでこの時期に転校してきたん?」
「訳あり?」

多感な時期でもあったせいか

『親の離婚ですけどなにか?』


なんて言ったらドン引くクセに、と思いながら


『…別に、』


と何とも面白くない返事を繰り出し

周りと壁を作ってしまった


(たかが半年、早く過ぎ去れ)


可愛げのない転校生に寄ってくる人は減っていき


「Aちゃん、球技大会何やるかもう決めた?」

いつも話しかけてくれるのは、クラスでも優しい人気者の桃ちゃんだけだった

「一緒にバレーせーへん?」

『人数足りないの?』

「え?」

『私、余ったところでいいよ。
人足りないならバレー入るし

球技苦手だから、どこいっても足引っ張ると思うけど』


自分でもキツい言い方をしたな、と思った

だけどこの頃の私は荒んでいて
自分を守るために強い言葉を使わずに居られなかった

1人ぼっちなんじゃない

好んで、一人でいるんだって


「桃がAちゃんとバレーやりたいなって思っただけ!

大丈夫、一緒に練習しよ!」


私は昔から球技が大の苦手で

「そっちいったで!南さん!」

レシーブは変な方向に曲がってしまい、まともに拾えたこともない


みんなが気まずそうな顔をする中で


「どんまい!次とってこ〜」

桃ちゃんの明るい声にみんなも「おー!」と声を出した

・→←Prolog



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (67 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
215人がお気に入り
設定タグ:北信介 , 宮侑 , 宮治
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。