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「うへぇー、こわ〜」
「お兄さん、カバ子のほんまの顔しらんで付き合ってるんやったらもう詐欺やで笑」
美月は下を向いたまま顔をあげない
「あ、俺昔の写真あるかも！」
「どーでもいい」
「え？」
「そんなんどーでもええから。
これ以上この子のこと傷つけようとすんならほんまに許さへんで」
「うわ、目つき悪笑」
「もーええて。行こうや」
「良かったなーカバ子、生まれ変わって王子様に見つけてもらえて」
捨て台詞のように吐き捨てて奴らは遠ざかっていった
「待たせてごめんな」
ふるふると彼女が首を振る
その横の袋には俺の大好きなたこ焼き
こーゆーとこが好きやなって思う
美月「…聞かへんの？」
「ん？」
美月「整形とか、カバ子とか…っ」
「美月が俺に話せるようになったら、…てか、話したいと思うならちゃんと聞くし。
話したくないなら話さなくてもええよ」
美月「…」
「全然詳しいことは知らんけどさ、俺が好きになったのも今付き合ってるのが美月なのも、過去がどうあれ変わらんやろ？
美月は美月やん」
聞きなれない整形って言葉に驚いたのは事実やったけど
美月は少しずつ話し始めてくれた
昔からブスだ、といじめられていたこと
名前の樺子(カコ)をカバと読みカバ子と呼ばれていたこと
中学生の時、父親の不倫で離婚をし、母方に引き取られ名字も変わったことをいいことに、その慰謝料や養育費を全て整形にあてたこと
美月 樺子
和風な名前が好きじゃないから美月って呼んで欲しい、と本人が望んでいると噂では聞いとったけど
美月「樺子を捨てることで、美月として生まれ変われる気がしてん」
って美月は言った
美月はお母さんによく似ていたらしく
お母さんがブサイクやから不倫されたんや、
こんな醜く生まれたせいでいじめられたんやと泣く彼女に
お母さんは泣きながら謝って、有り金全てを使って整形させてくれたという。
美月「失望したやろ。
大晴君が好きになってくれた美月は造り物なんやで」
今年のカップルコンテストのポスターには、昨年優勝した俺たちの写真が載っている
美月「野獣は王子様が変身させられた姿やったけど、逆やったら御伽噺として成立するんかな」
「…え？」
美月「美しい人の皮を被った野獣なら、物語は綺麗に終わらないと思わない？」
御伽噺は魔法が解けて王子様と結ばれたけど、
それじゃあ野獣のままでは幸せになれないって言われてるみたいでしょ？
って、美月は悲しそうに笑った
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作者名：りな∞
| 作成日時：2023年1月1日 21時
