白昼夢Ⅱ (ページ8)

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「そもそも付き合ってないし、美月ちゃんやって困るからこーゆーのは」

「でも今更無かったことに出来へんし、頼むよ大晴」

「ノリでもやってええ事とあかんことくらい分かるやろ」
強めに言ったせいか、バツが悪そうにしてるクラスメイト

どないしよ、とため息をついていたら

美月「大晴君、」

「美月ちゃんも、断らなあかんで
嫌なことは嫌って言わな」

美月「私が、悪いねん」

「え？」

美月「お似合いやねって言ってもらえたのが嬉しくて、応募してみる？って声掛けてくれた時私が断らなかったから

全部、私のせいやから」

「…俺が勝手に応募したってことにするから、上で断って。
そしたら丸く収まるしー…」

美月「やっぱり、大晴君は私と噂されるの嫌？」

「だって、付き合ってないのに…」

下唇を噛んで、きゅっと泣きそうな顔でこっちを見つめる彼女に

「…え、えぇ？」

流石に鈍感な俺でも気がつく

「次ー、エントリーナンバー16のお2人お願いしますー」

壇上に促されてマイクを渡される

美月「ちゃんと、私から話すから

…ごめんね」

小さい声で肩を震わせて

美月「ここまで選んでくださってありがとうございます。

でも、実は私たちは付き合っていないんです
すみません
私がー…」

マイクを奪って

「俺が、勝手に応募しました！

この場を借りて伝えさせて下さい

俺、美月ちゃんの笑顔が好きです」

驚いて目をまん丸にさせる彼女に跪いて

「この先もずっと笑っててくれませんか」

目いっぱいに涙を貯めて

美月「お願いします」

って手を取るその手は震えていて

わーって歓声の中、俺には隣で鼻をすすりながら小さく

ごめんなさいって謝り続ける君の声が聞こえた

美月「大晴君、なんで…。
あの、今からでもちゃんと話して誤解…」

「嘘は言ってへんよ」

美月「え、？」

「笑顔が似合うよ

俺でいいなら、付き合ってや」

初恋の人と重なる彼女を

この子といたら忘れられるんかな

この子をAより好きになれるんかな

だけどそれよりも

いつも自信がなくて謝ってばかりの美月に

もっと自信を持って欲しくて
笑って欲しくて

その気持ちに嘘はなかった

クラスメイトが睨んだ通り宣伝効果は抜群やったようで

うちのクラスは大繁栄

「集客の必要もないってことで俺ら普通に回ってくるわ」

「結果オーライやったやろ？美男美女の成立やん！」

「…あんま調子乗って勝手なことすんなよ？」

釘をさしてクラスを後にした