白昼夢Ⅱ (ページ32)

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ーページ32

「どれ食いたい？」

ニコニコと袋から広げる大晴を見てたら

「なんやねん」

と少し不機嫌そうに睨んでくる

『こうして2人で夏祭り来るの、夢だったから嬉しくて』

「…断ったん、Aのくせに」

『ごめんって笑』

懐かしいねって昔話に花を咲かせながら

「大学の時もこじけん達と来たよな」

『来たね』

「楽しかったけど
あん時もほんまは2人で来れたらなって思ってた」

素直な大晴の笑顔に

『私ね、大晴に感謝してるの』

「感謝？」

『…東京に引っ越してから、なかなか馴染めなくて

関西弁もバカにされるから使うのをやめて
…とにかく目立たないようにって過ごしてた』

大きな目をさらにまん丸にして、手を止めた大晴がまじまじと私を見る

『頼れる人もいなかったから、我慢して、我慢して…

いつも、助けてくれた大晴のこと思い出してた
あなたがいてくれたらって

どうしても会いたくて、大阪に戻ってきたの』

「…」

『いつも笑わせてくれて、
寄り添ってくれたから

ずっと救われてた』

「俺、そんな…」

『変わっちゃった私にも大晴は今までと何も変わらず接してくれた

また拒絶されるのが怖くて、距離を作ってた私を輪の中に入れてくれて

沢山笑わせてくれて、思い出もくれた』

また鼻を赤くした彼の目がうるみ始める

『大晴の優しさに救われた人は沢山いるよ

だからあなたの周りには人が集まるし
皆大晴のことが大好きなの』

泣き顔を隠すように下を向いてしまう彼に

『大晴はずっと私の太陽だった』

大好きって微笑めば

涙を零しながら

「…俺も好き
ずっと、ずっと好きやった」

ピューと花火が上がって2人で目をやれば大きく開き、流れ

光の世界に包まれる

「もー死んでもいいくらい幸せ、」

『ダメだよ。これからも一緒にいてもらうんだから
死なせないよ』

「一生生きます」

『それも無理だよ笑』

大きな花火が上がれば2人で目を合わせて笑い合う

ずっと恋焦がれた、大好きな人が隣にいる

それがこんなにも幸せで

ー

「あ、起きた？A」

『ん、』

「よう寝てたな」

麗らかな午後の日差し

「洗濯も終わってるで」

『素敵』

「昼寝久しぶりちゃう？」

『久々に夢見た』

「どんな？」

『白昼夢』

お日様のような、あなたと2人

白昼夢のような日々が

この先もずっと続きますように

左手の薬指に光るリングを撫でて

きっとまた私は夢を見る

夢に溺れることはもう怖くない
だって、隣にあなたがいてくれるから

ーfin