白昼夢Ⅱ (ページ31)

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『…そっかぁ』

美月さんとの過去の話を聞いて

彼女が大晴に恋に落ちたのは必然だっと思う

居場所のない、暗闇の中で

彼の分け隔てない優しさと笑顔は
太陽の光だから

大晴と離れた高校3年間

彼を思い出さずには居られなかった

『私もね、忘れられなくて
あの人に会いに大阪まで戻ってきて…

ずっと好きだったくせに、その気持ちを隠して
都合のいい存在としてでも、隣に居ようとしたの』

だから、気持ち分かっちゃうんだよなぁ

恭「俺は、変わってもうた樺子を見て、俺の好きやったあの子はもう居ないんやって思っててん

せめてもの罪滅ぼしのつもりで声をかけた」

『…』

恭「でも、Aちゃんと会って、話して
Aちゃんの周りに人が集まるのって当然やと思うし

大晴君がAちゃんを選んだ時、1人になるあいつのことを考えたら放って置かれへんくて」

『うん』

恭「気にかけて見てたら､誰も気に止めんような道端の花で笑顔になってたり

ほんまは、優しいとことか変わってないなぁって思ってさ」

恭平くんは空を見上げながら

恭「沢山泣かせてもうた分、これからはわらわせてあげたいなって
素直に、思うねん」

クサイか！なんて笑う彼に

『愛だね』

って微笑めば、照れたように頬をかく

恭「Aちゃんにもな、ほんまに幸せになって欲しいって思ってる」

『うん、ありがとう』

花火の見える穴場スポットを教えてくれた恭平くんは

恭「あいつ連れ回せへんから俺らはその辺で見るんで、お2人で楽しんで」

場所取りを終えると

恭「戻ろかー」

と来た道を引き返す

『恭平君、これからも友達でいてくれる？』

1呼吸置いて

恭「Aちゃん、危なっかしいからしゃーなし」

クシャって笑う

2人の元へ戻ると、目に涙を浮かべてる大晴

『泣き虫だなー』

愛情深く、優しい

そんなあなただから好きになった

ー

「…俺の方こそありがとう」

涙をこらえて紡いだ言葉は

美月さんにきっと届いていると思う

恭平君の肩を引き寄せて、彼氏だと言い切った彼女の言葉は

〝もう大丈夫〟って合図

「幸せになってな」

ずっと分かってた

大晴には私に話してない何かがあること

彼の行く手を阻むのはいつも、過去だったと思う

あの2人ならきっと大丈夫だよ

まだ鼻を赤くしてる彼の横顔を愛おしく思う

場所取りをした所へ案内すると

「すげえ、ほんまに穴場やん」

と嬉しそうに

「ここで食お」

と、来る途中にかった屋台の袋を下げて笑った