白昼夢Ⅱ (ページ30)

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恭「ちょっとプラプラしよか」

何気ない緩い会話が居心地が良かったのを思い出す

あ、と足を止めた恭平くんが

恭「チョコバナナ食いたい」

『いいよ笑』

並ばしてごめんな、って言うから

『それは全然いいけど、美月ちゃんと来なくて良かったの？』

と聞けば

恭「糖質制限してるから、こんなん持ってったら怒る」

って笑う

恭「あんなガリガリなんやから気にせんで好きなもん食えばええのになー

…俺が言うてもどうせ聞かへんから、笑」

『…』

恭「あ、でも飯はちゃんと3食食わせてるよ

たまに甘いもん買ってったら捨てるのは勿体ないって食ってる笑」

んで、その後一緒に筋トレやで？

なんて笑う恭平くんは

『…恭平くんの言ってた好きな人って美月ちゃんでしょ』

初めて会った時の、感情の読めない作られた綺麗な笑顔じゃなくて

呆れてるような、そのくせ愛しさを含んだ優しい顔だった

恭「…俺さ、Aちゃんに隠してたこと沢山ある」

『…うん？』

ー
恭「好きな人、おったけど
その人にはもう会えへんから」
ー

いつか、そう言っていた恭平くん

恭「俺、Aちゃんのこと最初から利用しようとして近付いた…」

黙って下を向いたまま

恭「大晴君から引き剥がそう…って」

何で恭平くんがそんなことしようとしたのか
バカな私にだって分かる

恭「けど最初は、可愛いAちゃんみてやっぱ大晴君メンクイやなとかそんなことしか思ってなかったのに

Aちゃん、アホやし危なっかしいし」

眉間にしわを寄せながら

恭「優しくて、素直で…真っ直ぐで、

騙しながら一緒におるのがしんどくなって
幸せになって欲しくて

こんな俺にも優しいAちゃんが傷ついてんのみたら
自分で仕向けたはずやのに、苦しくて」

ごめんって

絞りだされた声は震えていた

『今はどう思ってるの？』

恭「え、？」

『今は私の事友達って思ってないの？
大晴君と付き合ったら用無し？』

恭「そ、…んなわけ
俺、合わせる顔なくて」

『理由はどうあれ大橋さんのとこ連れてってくれたのも

私のこと怒ってくれたのも、話聞いてくれたのも恭平君でしょ』

恭「…」

『今更それも全部嘘でしたって言ったら殴るから』

恭「ふはっ笑」

恭平くんは笑ってて

『罰として1発はくらってもらうよ』

とデコピンをお見舞いする

恭「あいつは悪くないねん

樺子をあんな風に変えちゃったのは、俺やから」

『…？』
恭平くんは幼なじみの2人のことをポツリ、ポツリと話してくれた