白昼夢Ⅱ (ページ29)

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美月「大晴に似合う女の子になりたくて

自分で選んで、いい女の子になりたかってん」

「あの時、ちゃんとお互いの話をもっと聞いてたら

向き合うことが出来てたら違ったんかな」

美月「…そうかもな」

沈黙を破ったのは美月で

美月「でもやっぱりこうなって良かったと思うねん」

「…ん？」

美月「私は、あなたの長所を潰してしまうから」

美月の目には涙が浮かんでいたけれど

美月「だって今も、見てたら溢れちゃいそうになるから

…きっとまた歯止めが効かなくなって困らせてまうから」

もう零れることはない

美月「大好きでした

…あなたを好きになれて良かった」

晴れ晴れしく笑う

美月「大晴と過ごした日々が私の宝物です

ありがとう」

「…っ」

やっと許されたような気がした

俺の優しさは誰かを傷つけるって

鎖のように、呪いのように取り付いた言葉が

『ただーいま』

明るい声と

『相変わらず泣き虫だなー』

って笑う君

「美月…、俺。ちゃんと美月のこと好きやったよ
ほんまにずっと笑ってて欲しいって思ってた

それだけは嘘じゃないから」

美月「うん」

「…俺の方こそありがとう」

ー

恭「あれ、あんだけダサいからいややって言うてたのに絆創膏貼ったんや」

去り際に後ろから聞こえる声

恭「どうせ貼るんやったら最初から貼ったらええのに
持ってたんやからさー
俺何度も言うたやん」

美月「うるさい。ええの」

恭「ほんま女心って分からんわ」

美月「大晴！」

呼び声に振り向けば

美月「この人、私の彼氏」

って恭平の肩を組む美月

恭「は、え！」

らしくなく顔を真っ赤にしてる恭平

「おー！仲良くなー！」

今度は笑って、ちゃんと言える

「幸せになってな」

『恭平君と歩きながらいいスポット見つけて場所とってきた』

「恭平はそこで見なくてええん、」

『美月ちゃんが靴擦れしてるから動かなくていい場所で適当に見るって』

「あ、そうなんや」

『私は家から対策してきてバッチリ』

って下駄から見えた絆創膏をドヤ顔で見せてくるAに笑う

『下駄からはみ出るのがいやだって、どんなに恭平くんが勧めても絆創膏はらないし

そのくせ痛くて歩けないって言うからお手上げなんだって』

「へえ、」

半ば無理やり貼ってもうたけど
ありがた迷惑ってやつやったんかな…

『でもね、恭平くん
ぶつくさ言いながら凄く嬉しそうだった』

上手くいくといいね、あの二人って言葉に

「そうやな」

って返して2人で空を見上げた