白昼夢Ⅱ (ページ3)

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中一で同じクラスになって

(おっしゃあぁぁぁ！)

って噛み締めてたのに、あんまりアクションは起こせず、

たまたま席が近くなったグループでよく遊んだりするようになって

初めての夏祭り

浴衣を楽しみにしとったけど、普通の私服できた彼女に

少しガッカリして

(浴衣、見たかったな〜)

なんて後悔を残しながら
2年生になってクラスが離れて

(あ、2組体育なんや。

ポニーテール、かわい…)

先生「おい福本！なに黄昏てんねん、はよ続き」

「ぁー、えっと」

何してんねん大晴〜なんて笑われながら

「よ！」

『大晴君』

すれ違う時に余裕ぶって声掛けて

横目で君を追いかける

(ほんま何してんやろ俺)

3年になって同クラだと分かって

今年こそはって心に決めた

4月

隣の席になって
ちょっと大人びた君

「おはよ！」

『おはよう』

毎日声掛けて

何故か1年の頃から恒例になった夏祭り

昨年も浴衣やなかったし、今年はラストチャンスなわけで

先生「ほんまにここ第1志望でええの？もっと上目指せるやろ」

「ここがいいんですもん」

確証は無いけど、Aは絶対私立には行かんやろうし、

交通費やら手間のかかる遠い場所やなくて近場を選ぶ

仲のいい奴らもみんな行くであろう地元の高校

きっと、Aもなんて理由で高校受験をしようなんてどこまでもアホやなー俺って

そんなことを思いながら、中学最後の夏

「うぇ、」

『あ、』

妹にパシられてアイスを買いにコンビニに行かされた帰り

「どっか、行くん」

『ううん、帰り。大晴君は？』

「俺は…、コンビニでアイス、買ってきたとこ」

いいね、アイスって笑うAに

「アイス、食う？」

『え？食べたいから買いに行ったんやろ？』

「選びきれんくて、2個買っちゃったから一個食ってええよ」

『ええの？
…じゃあ遠慮なく。』

いちごミルクのアイスを選んで
頂きますって口に運ぶAの隣をチャリを押しながら、俺もアイスを咥えて2人で歩く

(許せ、妹。)

途中の掲示板で、俺らが毎年行ってる祭りのポスターが目に入り、自然と足が止まる

「なあ、今年は2人で行かへん？」

「俺、待ってるから」

君の頬が紅いのは、夏の暑さのせいなのか

夏祭りの時は、
Aが嬉しそうに目につくもん色々集め始めるから

「俺たこ焼きも焼きそばも食いたいから半分こしよや！」
って言えば、目を輝かせるのが愛おしくて

「浴衣、着てきてよ」

返事は待たずに

じゃーなってチャリを走らせた