白昼夢Ⅱ (ページ13)

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「…っ！」

急に視界が変わって

『ん、起きた？』

「…A？」

『おはよ。
疲れてるみたいだったから起こさなかったんだけど、』

「どんくらい寝てた？」

『うーん、2、3時間くらい？』

「A、こっち来て」

『ん？』

布団にAを寄せて抱きしめる

「ぁー、落ち着く」

『なんか昔に戻ったみたい』

「なんそれ」

『嫌な夢でも見た？』

「…まあいい夢ではないな」

『この生活始めた頃もよくあったよね
うなされて、起きたと思ったら甘え出すの』

「そうやっけ」

あのまま美月とは疎遠になって

誰も傷つけたくない
もう泣かせたくないって

気を遣ってばかりのイェスマンの末路は

チャラ本君やった

俺は誰かを幸せにできるような器の男ちゃうし
誰かを好きになる権利も
幸せになる権利もない

その癖嫌われるのが怖くて
表面ばっか取り繕って

「ねー大晴は誰が好きなん？」

「みんな好きっすよ」

「それじゃ逆に誰も特別じゃないってことやん」

「そうかも」

「なんそれぇー」

「じゃあ俺の事嫌いになっちゃいますか？」

「そんなわけないやん〜」

何かに満たされていないと不安で

そんな時再会したのが、Aで

諦めたはずやのに

俺なんかが、Aを幸せにできるわけないのに

君の前では、昔の大晴くんのままでいたかった

小島「…なんでそんなあの子のことばっか気にかけんの？」

「んー、そうかな？」

小島「そんな大切なんやったら、大晴が自分で…」

「俺じゃダメやねん」

小島「好きなん？あの子のこと」

「とっくの昔に、振られてるから、俺笑」

小島「…」

「あの子のこと、1人にさせたくないねん。
こじけん、力貸して」

再会した彼女は、言葉に喉に突っかかってるような

どこか無愛想で冷たく見えて

そうすることで自分を守っているように見えた

この子を1人にしちゃいけないって本能で感じて

彼氏になるなんて望まないから

閉ざしきった君の心を少しでも開けて

君の居場所がここにあるよって安心して欲しかった

佐「Aさんって大晴君にだけ心開いてますよね」

「幼なじみやからな〜」

なんて、本当は特別である事が嬉しかった

『大晴？』

「んー？」

『ぼーっとしてどうしたの？寝ぼけてるの？』

「A可愛ええなぁって思って」

『!!』

きっと両思いなのは分かってて

それでもまた、あの夏祭りの日のように傷つくのが怖くて

また君を失うのが怖くて

つんつんしてても優しいところは変わってないとこも