繋いだ手

愛情の裏返し ページ22

末吉side


日本に帰国してから何度か真司郎の恋人のAちゃんを見かけたけど、敢えて声はかけずにいた。


いきなり知らんやつに声かけられても嫌やろうしな。


先に日本に帰国した俺は、Aちゃんにいつでも会おうと思えば会えたけど、真司郎が帰ってくるまで待つ事にしたんだ。


冗談で仲良くなっとくわなんて言ったけど、
俺も彼女と遠距離恋愛だったから、自分の知らんところで彼女と仲良くなられたりしたら嫌なのわかるしそんなの堪らんもんね。


それに真司郎は嫉妬深くて独占欲が強いのが話してる感じからしてわかっとったけん。


なのにだ。


あいつはなかなか会わせてくれようとしなかった。


まぁ、その気持ちも今わかったけどね。


俺が言った冗談に笑った彼女と目があった時、俺に微笑んでくれたんやけど、彼女の笑顔は人を惹きつけるものがある。


俺には彼女おるし彼女一筋だけど、これがもし彼女おらんかったら多分惚れてるな。


優しく微笑むその笑顔はすっと心に入ってきて、人を惹き付けるほどの魅力をもっている。


真司郎もずっと笑顔が可愛いって言ってたし、そこに惚れたとも言ってたし写メで見るよりも実物の破壊力は凄い。


いつもはクールぶってる真司郎も、今彼女の前では頬が緩みっぱなし。


恋人になれたって報告してくれた時も、ほんと嬉しそうな顔してさ。


真司郎の気持ちを聞いた時のあいつの辛そうな顔、今でも目に浮かぶよ。


きつい事言ったけどさ、後悔してほしくなかったんよ。


遠距離になる辛さや寂しさは俺もそうだったけん痛いほどよくわかる。


でも何もせずに後悔するのが1番辛いけんね。


だからこそ俺は背中を押してやったんよ。


帰ってきたあいつの顔見て、嬉しそうなその表情に俺も嬉しくなったな。


俺のした事は間違いじゃなかったって。


今2人の様子を見てると、なんかほんと純愛って言葉がよく似合う。


愛おしそうにお互いを見つめるその表情が物語ってるわ。


真司郎は普段そんなとこ見せんからついからかいたくなってくるんよね。


やから今もからかってやったんだけど、


それは俺なりの愛情って事で。

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