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願い ページ10

美里side


美「秀ちゃん、少しの間、子供達見ててもらって
  もいい?」


末「いいけど、どうした?」


美「ちょっと、Aちゃんの家に行ってくる」


末「みぃ…、大丈夫か?」


美「ん、大丈夫。
  心配してくれてありがと。
  じゃあ、行ってくるね」


あのあと。


子供達もいたし、大勢で病院にいたら迷惑になるから、とそれぞれシェアハウスへと帰ってきた私達。


ご飯を作り、子供達をお風呂に入れて寝かしつけたあと、私はある物を手に家を出た。


隣のAちゃんの家は、当然のことながら真っ暗で。


少しだけ重くなる足取りで、玄関の前に立つ。


私達は何かあった時の為にと、それぞれの家の合鍵を預かっているんだけど。


まさかこんな形で使うことになるなんて
思ってもみなくて、胸がキリ、と音を立てる。


鍵を差し込もうとした時


実「美里さん」


私を呼ぶ声がして振り向くと、そこには実彩子ちゃんと千晃ちゃんが立っていた。


美「実彩子ちゃん、千晃ちゃん。
  …あ、2人とも、それ、」


ふと見ると2人の手には、バケツが持たれていて。


その中には洗剤のボトルや布が入っているみたいに見えた。


千「あのままにしておけないと思って…。
  もしかして、美里さんも?」


ちらっと私の手元に視線を向けた実彩子ちゃんと千晃ちゃん。


その手には、私もバケツを持っていて。


美「みんな、同じ事考えてたんだね」


実「そうみたいですね」


Aちゃんが倒れて救急車で運ばれた時。


私と千晃ちゃんは、とりあえずAちゃんの家の鍵だけを締めて、そのまま病院に向かったから、室内はその時のまま。


それを家に帰ってきた時に思い出して、子供達が寝たあとに後片付けをしようと、出てきたんだけど。


みんなして同じ事を考えていたことに、少しだけ心が和んだ。


美「それじゃ、みんなでしよっか」


千「はい、」


改めて鍵を差し込み、カチャリと小さな音がして玄関を開ける。


玄関から順に明かりをつけていき、リビングの明かりをつけた時、一瞬、足がすくんでしまう。


…今日起こったことが全て夢なら、どんなによかっただろう。


明日になれば、いつもの笑顔のAちゃんがいる気がするのに。


だけど、現実は時に残酷で。


そこにはたしかに、Aちゃんが倒れた時の痕跡が、はっきりと残されていた……。

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作品ジャンル:恋愛
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まりぃ(プロフ) - RUI1117さん» 最後までお付き合い下さり本当にありがとうございました。最終章は私も書きながら胸が痛かったです笑ですが応援して下さり方が支えとなり完結まで書き切ることができました、本当にありがとうございました。また戻ってきますので今後ともよろしくお願い致します(^_^) (2020年1月3日 13時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - 真央さん» 最後までお付き合い下さり本当にありがとうございました。あたたかいお言葉に涙が出る思いです。何度も挫けそうになりましたが待ってて下さる方がいるのが支えになり完結まで書き切ることができました。本当にありがとうございます。今後もよろしくお願い致します(^_^) (2020年1月3日 13時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - みかもんさん» あたたかいお言葉本当にありがとうございます。そんなふうに言って頂けるなんて涙が出る思いです。拙い私のお話を好きになってくれて本当にありがとうございました。この先も自分らしく言葉を紡いでいけるよう頑張りますのでこれからもよろしくお願い致します(^_^) (2020年1月3日 13時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - Takatakaさん» 嬉しいお言葉本当にありがとうございます、涙が出る思いです。長い物語見届けて頂きありがとうございました。いつになるかわかりませんがまた戻ってきますので今後ともよろしくお願い致します(^_^) (2020年1月3日 13時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - ふみさん» いつもあたたかいお言葉をかけて下さりありがとうございました。挫けそうな時いつも思い出していました。そのお言葉を支えに完結まで書き切ることができました、本当にありがとうございました。また戻ってきますので今後ともよろしくお願い致します(^_^) (2020年1月3日 13時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まりぃ | 作成日時:2019年12月3日 16時

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