繋いだ手17

約束 ページ26

あなたside


真「でもな、全力で遊ぶんめっちゃ疲れる。
　 なんか30歳過ぎて、急に体力落ちた気する
　 わ」


あ「真司郎、その発言おじさんだよ」


真「あー、Aひっど！」


あ「ふふ、冗談だってば笑」


真司郎と2人他愛もない話をしていると、目の前を肩車された男の子とお父さんらしき親子が通り過ぎ。


それを見ていて、ふと昔の出来事を思い出した。


あ「そういえば真司郎、覚えてる？」


真「ん？」


あ「私達が恋人同士になってすぐの頃、
　 ショッピングモールで迷子になった男の子に
　 出会った事あったよね」


あれはまだ私と真司郎が恋人同士になってすぐの頃。


実彩子達の結婚祝いを選びに、ショッピングモールに出掛けた時の事。


真「あー、覚えとるよ、しょうたやろ？」


あ「そうそう、しょうたくん！
　 真司郎、よく名前覚えてたね」


真「そりゃ忘れへんよー。
　 だって俺、あの時しょうたと……、」


そこまで言って、しまった、というような顔をした真司郎は、急に口を噤んだ。


そのことに胸に何かが引っかかった私。


あ「しょうたと、なに？」


真「あー……、いや、なんもない」


言い淀んだ真司郎は、さらに何かを隠すように
瞳を泳がせる。


あ「真司郎、私に何か隠してる？」


真「へ？！」


あ「あーその反応、何か隠してるでしょ！」


真「いや…そんなこと、ないで？」


あ「やっぱり、私に隠し事してるんだ。
　 なに？言えないことなの？」


真「言えなくはない……、けど」


嘘が隠せない真司郎は、観念したのかそう言う。


あ「なに隠してるの？
　 それは私にとっていい事？それとも悪い
　 事？」


真「悪くはない、と思う。というか、」


あ「というか？」


真「俺あの時、Aに1つ嘘ついた」


あ「え？嘘？！」


あの時、真司郎は私にどんな嘘をついたのだろう。


そもそも、何が嘘だったの？


というか、真司郎が私に嘘をつかなきゃいけなかった理由って、なに。


そんな事を1人考えていると、


真「嘘って言っても大した嘘じゃないねん！
　 あの時は、そう言わざるをえんかったという
　 か、隠したかったというか…」


私が急に喋らなくなって、怒っていると思ったらしい真司郎は、焦ったように喋りだす。


あ「なんで嘘なんてついたの？」


詰め寄れば。


真「…しょうたとな、あの時男と男の約束してん」


真司郎は、そう言った。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す