繋いだ手 Specialedition

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真司郎side


ゆいに【ほたるがみたい！】とお願いされてやってきたAの生まれ故郷。


蛍が見れるってのは前に聞いてたけど、そういや見に来るのは初めてやな、なんて思いながら
しばらく歩いて着いたお祭り会場。


たくさん並んだ屋台からは、楽しそうな声が聞こえてきたり、美味しそうな匂いが漂ってくる。


真「すごい人やな」


あ「うん、毎年みんなこの日を楽しみにしてる
　 からね」


蛍祭りと称されたこの日。


蛍が見頃なのもあってか、親子連れやカップル、友達同士などたくさんの人でその場は溢れていた。


そんな中屋台を見ながら歩いていると


「パパ！パパ！ゆい、あれたべたい！」


真ん中で手を繋いでいたゆいが、キラキラした瞳を俺に向けて言ってくる。


真「ん？どれ？」


「ふわふわしたわたあめ！」


真「ええよ」


「やったー！」


ゆいは嬉しそうに手を繋いだままぴょんぴょんと飛び跳ねる。


その様子が可愛過ぎて、頬がゆるゆるの俺。


ゆいにお願いされると何でも聞いてしまう俺はかなりの親ばかで、そんなところは自分でも自覚済み。


真「今日はゆいの欲しいの何でも買ったげるで」


「ほんと？！」


真「おん、他に何が欲しい？」


あ「よかったねゆい。いっぱいおねだりしちゃお
　 っか」


「えっとねじゃあね！りんごあめもたべたい！」


あ「あ、ママもりんごあめ食べたい！」


「あとね、たこやき！」


あ「冷やしパインも美味しそうだなぁ」


瞳をキラキラさせて、目移りさせながら欲しいものを次々と言う2人は、同じ顔をしていて楽しそう。


そのことに思わず吹き出してしまった。


あ「真司郎、何笑ってるの？」


真「ん？いや、2人とも同じ顔して見ててそっくり
　 やなぁと思って」


「ゆいとママ？」


真「おん」


あ「だってお祭りだよ？
　 お祭りの時しか食べれないの、たくさんある
　 んだもん。
　 テンションあがっちゃうよ。
　 あれもこれもぜーんぶ食べたいよね？ゆい」


「うん！」


いつだったか初詣に行った時、Aはあれもこれも食べたいと食いしん坊ぶりを発揮していたのをふと思い出した。


真「ゆいの食いしん坊は、ママ似やな笑」


あ「だって親子だもん。ねーゆい」


そう言いながら同じ表情をして笑い合う2人。


真「はは、ほんまそっくりや。
　 よし、なら全部買ったろ！」


それから2人が欲しがる物を買ってあげて、仲良く食べながらお祭りを堪能したのだった。

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