繋いだ手9

真っ直ぐな言葉 ページ42

あなたside


大切な人達と過ごした時間はあっという間に過ぎ、あとは真司郎からの、お礼の言葉のみとなった。


2人でみんなの前に立つと、渡されたマイク。


真司郎はそれを受け取ると、1つ咳払いをして、真っ直ぐと前を向いた。


真「本日はお忙しい中、僕達の為に集まって
　 下さり、ありがとうございます。」


私は、真司郎がどんな言葉を考えているのか知らず、隣で静かに耳を傾ける。


真「僕達は出逢ってから5年になります。

　 僕は彼女と、Aと出逢ったのは
　 運命だと思っています。

　 僕はAから、たくさんの大切な事を
　 教えてもらいました。

　 そして Aと出逢って、僕自身変わる
　 ことができたんです。

　 Aは、自分が変われたのは、僕の
　 おかげだと言ってくれますが、それは
　 僕も同じです。

　 出逢ってからずっと、僕達は同じ時間を過ご
　 してきました。

　 ですがここまでくるのに、全てが順調だった
　 わけではありません。

　 すれ違って傷付けた事もあります。

　 そんな僕達を傍で見守って支えてくれた、
　 大切な友人達がいます。

　 その友人達のおかげもあって、今の僕達がい
　 るのも事実です。

　 普段、なかなかお礼を言えないので、この場
　 で言わせて頂きます。

　 今まで見守ってくれて、ほんまにありがと
　 う。

　 友人達だけでなく、関わってくれた皆さん
　 にも感謝申し上げます。」


真司郎の言葉は真っ直ぐで、心に響いて
今までの事を思い出して胸が詰まり、涙が滲んでしまう。

そんな私の手を優しく握り、笑いかけてくれる真司郎。


真「僕達はまだ始まったばかりで未熟です。

　 これから先も、悲しい事、辛い事、傷付けて
　 しまう事があるかもしれません。

　 ですがAと寄り添い合い、2人で乗り越
　 えて、これからの人生を一緒に歩んでいきた
　 いと思いますので、これからも、温かい目で
　 見守って頂ければと思います。

　 こんな僕達ですが、これからもよろしくお願
　 い致します。」


マイクを下ろした真司郎と、2人で深くお辞儀をすると、大きな拍手が鳴り響く。


しばらくして頭をあげ、真司郎と笑顔で顔を見合わせた。


これで、全て終わった。


と、思っていたその時。


再びマイクを手にした真司郎。


真「最後に。
　 僕と、僕達を傍で見守り、支えてくれた人達
　 から、大切なAへ、贈りたいものがあり
　 ます。」

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