繋いだ手9

そのままでいて ページ41

あなたside


母「Aが産まれた時、天使ってほんとにい
　 るんだなって思ったのよ。」


父「そうだね、ほんとに天使みたいに可愛かっ
　 た。」


あ「2人とも大袈裟だよ、」


両親の言葉に、また思わず苦笑いを浮かべる。


母「大きな産声を上げて産まれて、胸に抱いた時
　 はほんとに嬉しかったの。
　 神様からの大切な宝物を授かって、もう嬉し
　 くて嬉しくてね。昨日の事みたい。」


優しく微笑む。


母「毎日少しずつ成長していくAを見れるの
　が、何よりも嬉しかったわ。
　篤郎さんも早くAに会いたくて、
　仕事早く帰ってきたりしてたんだから。」


父「私だってAの成長見たかったんだ
　 よ。」


母「Aと色んな事できて、ほんとにお母さ
　 ん楽しかったし、幸せだった。
　 でもね、1つだけ、Aとやり残した事が
　 あるの。」


あ「やり残したこと？」


母「うん、それはね、【恋バナ】。」


あ「恋バナ？！」


母「お母さん、楽しみにしてたのよ？
　Aから好きな子の相談されるの。
　 だけどちーっとも男の子の話なんか出てこな
　 いんだもの。」


あ「だって、それは…。」


まさか、真司郎が初恋なんて言えない…。


母「ふふ、それだけが心残り。
　 だからね、これからしようね、恋バナ。」


父「お父さんも入れてもらおうかな。」


母「何言ってるの？男の人はだめに決まってるじ
　 ゃない。」


父「なんで？羊ちゃんだけずるいじゃない。」


母「だめなものはだめ。」


何故かその事で言い合いを始める。


それを見ていて、ほんとに私の両親はいつまで経っても変わらないなぁ、と思う。


私の両親は、昔からずっとこんな感じだ。


私の前でも名前で呼び合い、言い合いをしている様に見えても、それはじゃれているだけで、恋人同士みたいな2人。


そんな両親が私は好きで、憧れの存在だった。


あ「お父さんとお母さん、ほんとにいつまで経っ
　 ても恋人同士みたいだよね。」


父「まぁ、愛し合ってるし？」


母「ばか。」


私の前だろうが恥ずかしがる事もなく、こうして伝え合える2人みたいに、私も真司郎となりたい。


あ「お父さんお母さん、いつまでもそのまま、
　 変わらないでね？
　 2人は私の憧れなんだから。」


父「お前達には負けないよ？」


ドヤ顔のお父さんと、呆れた顔をするお母さんに、笑顔を向けた。


いつまでも、そのままでいてほしい
私の憧れの人。

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