繋いだ手9

いつまでも ページ40

あなたside


母「この抱いた時の感じ、思い出すわね。」


真母「ほんまに、こんな小さかったんやねぇ。」


2人が、懐かしむように呟いた。


式も終盤を迎えて、今、私と真司郎は両親の前に立っている。


花嫁からの手紙と言うのは、照れ臭いし、式の前に両親に伝えたい事は伝えてしまった私。


けれど、何か両親に感謝の気持ちを表したくて。


はじめは花束や旅行券とかを考えたけど、どうせなら、何か形として残るものにしたくて、ウェイトドールを渡すことにした。


ウェイトドールを手渡すと、本物の赤ちゃんを抱っこするように、腕に抱いたお母さん。


その顔は優しい眼差しで見つめていて、きっと、私が産まれた時の事を思い出しているのだろう。


母「初めてAを抱っこした時、こんなに
　 可愛い赤ちゃん見たことないって思ったの
　 よ？」


真母「ほんまにそうよね。
　 真は3人目やったけど、それでもやっぱり
　 可愛くてね。
　 真は上2人と歳離れとったからなおさら
　 やったし。」


真司郎は、上のお兄さん、お姉さんと歳が離れている。


真母「目がくりっとしてて、女の子みたいやった
　 わ。」


真姉「そうそう。」


お姉さんも、真司郎の赤ちゃんの時を思い出しているみたい。


真司郎の実家に行かせてもらった時に、真司郎の赤ちゃんの時の写真を見せてもらった事があるんだけど、お義母さんが言うように、可愛かった。


赤ちゃんの時から顔がすごく整っていて、目がくりっとしていて。


真母「あんたの事お姉ちゃんがよく面倒見てくれ
　 とったんよ、」


真「それは覚えとるわ、」


真姉「いっつも私の後ろついて回って
　 昔はあんなに可愛かったのに。
　 今は生意気になって。」


真「失礼やなお姉。」


お姉さんの言葉に、思わずくすくす笑ってしまう。


真母「大きくなったもんやねぇ、ほんまに。
　 赤ちゃんだった頃が懐かしいわ。」


母「ほんとに。」


真母「また赤ちゃん抱っこしたいから、早く孫の
　 顔見せてね？」


真「おかん、気の早いこと言わんといてや…。」


その言葉に、きっと言われるだろうな、とは真司郎と予想していたものの、顔を見合わせて思わず苦笑いをする。


あ「その時は、ぜひ抱っこして下さいね。」


まだ私達にその予定はないけれど、その時は抱っこしてもらいたい。


そう思い、笑顔で答える。

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