繋いだ手10

大きくなる ページ39

実彩子side


あ「実彩子のお腹、大きくなってきたね。」


実「そうなの。」


隣に座っているAは、私の大きくなり始めたお腹を撫でている。


Aは毎朝会うと必ず、【おはよう】と声をかけながらお腹を撫でてくれて、そうするのがもう日課になってるみたい。


真「もう動いとるん？」


実「うん、もう6ヶ月だからね。」


5ヶ月の中頃から胎動を感じ始めて、その動きは少しずつ激しくなってきていた。


あ「あ、今動いた！」


実「ふふ、Aが撫でるとよく動くよね。
　 Aの事好きみたい。」


西「まじ？！俺が触る時あんまり動いてくんない
　 んだよなぁ、」


真「お前嫌われてるんちゃうん、」


西「んなわけねーだろ。」


日「お腹に話しかけたりしてんの？」


西「もちろん、毎日してる。」


隆弘は私の妊娠がわかってから、愛おしそうに毎日のようにお腹に語りかけている。


私も妊娠して、胎動を感じ始めてから、少しずつ、本当に少しずつだけど母性が芽生えてきて。


私のお腹の中に、新しい命が宿ってるんだと思うと、愛しくて愛しくてたまらないんだ。


実「もうね、うるさいくらい話しかけてるんだ
　 よ、」


末「それが原因じゃね？」


真「ほんまや、うざがられてるんやでそれ笑」


西「んなこと、っあんのかな…、」


あ「きっとタイミングが合わないだけだよ、西島
　 くん、」


西「Aちゃん優しい…。」


たしかに、タイミングが悪いだけなんだと私も思う。


隆弘が話しかけると、よく動くんだよね、ほんとうは。


真「俺も触ったらあかん？」


西「おい、セクハラすんな與。」


実「何言ってんの、ばかなの？」


さっき真司郎からお仕置きされて、まだ少しだけ青い顔をした隆弘が、バカなことを言ってくる。


日「俺触らせてもらったし。」


西「なにそれ、聞いてないんだけど、」


日「いちいち言わないでしょーがよ笑」


男どもがそんな話をしている中


あ「ここにいるんだよね、可愛いだろうなぁ。」


実「生まれてきたら、輝くんみたいに可愛がって
　 くれる？」


あ「もちろん！めちゃくちゃ可愛がる！」


千「私も！」


美「輝と友達になってくれたら嬉しいな。」


実「もちろんですよ、」


あ「楽しみだね、実彩子。」


実「うん、早く会いたい。」


優しくお腹をなでながら、愛しさを募らせた。

その前に→←逃げられない

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す