繋いだ手10

私だからできること。 ページ26

あなたside


それは、真司郎も同じだったってあの言葉を聞いてわかったから。


あ「離れていても、私の気持ちは何1つ変わらな
　 かったよ。
　 それは真司郎も同じだったって、あの時の言
　 葉でわかったから。
　 だから離れてても大丈夫だって思えたし、
　 信じることができたんだよ。」


真「A、ありがとうな、ずっと好きでいてくれて。」


あ「私のほうこそ、ありがとう。」


心からの気持ちを伝えあう。


あ「それに、なんだか凄いと思わない？」


真「ん？」


あ「お互いに何の連絡もとらなかったのに、
　 ずっと想い合ってたなんて。」


真「ほんま、凄いことやと思う。
　 でも寂しい想いさせたことには変わらん…。
　 ほんま、あの時はごめんな。」


その言葉を聞いて、私はもう1つ、真司郎に伝えたいことがある。


あ「真司郎、あの時のこと、まだ後悔してる？
　 してるよね？きっと、今この瞬間も。」


真「…おん、」



真司郎はあの時の話をすると、必ずと言っていいほど【俺が悪い】【ごめんな】という言葉を口にする。


それは真司郎が全て悪いわけじゃないのに、といつも思う。


私だってあの1年、何も連絡しなかったわけだし、
私だって悪いのに…。


真司郎が、あの1年の事をずっと後悔してきてるのはわかってた。


私だって、何回も何十回も、数え切れないほど後悔してきたから。


あの時の後悔した気持ちは、いまさら消すことはできないし、なかったことにすることもできないのは、わかってる。


だけど、その後悔の気持ちを軽くすることはできると思ってる。


そしてそれができるのは、他の誰でもない、私だからできること。


だから、伝えなきゃいけないことがある。


あ「真司郎、私もね、たくさん後悔してきた。
　 その後悔を消すことはできないのもわかって
　 る。
　 だけどね、私はもう、真司郎にあの時のこ
　 と、後悔しててほしくないの。
　 私も、したくないと思ってる。」


真「そうやけど…でも、」


あ「ねぇ、こういう考え方はできないかな？」


真「こういう、て？」


あ「さっき、もしもの話したでしょ？
　 その中で私は、別れを考えてたかもしれない
　 って、言ったよね？」


真「おん、」


あ「あの1年は、そうならない為に必要だった時間
　 なんだって、思えないかな？」

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