繋いだ手4

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真司郎side


Aが初めてなのはわかっとるし、不安や戸惑いがあるのもわかっとる、やから大事にしたいねん。


やけど大事に思うばっかりで大事な事伝えてなくて、それが仇になって、余計に不安にさせてしまった事がわかったから、きちんと伝えておきたい、俺がどう思っとるのか。


真「Aが初めてなのはわかっとるし、そ
　 れが面倒くさいなんて事、これっぽっちも
　 思ってないで。」


世の中には面倒に思う奴もおるかもしれんけど、俺はそんな事全く思ってない。


むしろ嬉しいし、大事に、大切に、優しくしてあげたい気持ちでいっぱい。


あ「…ほんとに？」


真「ほんまに。
　 初めてやからこそ、嫌な事したくないし、
　 優しくしてあげたいって思っとる。」


あ「初めてなの、…重くな、い？」


真「全然、そんなん思ってない。」


涙を溜めた潤んだ瞳ながらしっかりと俺を見てくれるAに、不謹慎ながらもドキドキしてしまう俺は、Aが好きすぎてどうしようもない。


あ「ごめ…、ごめ…なさ、い―――。」


真「謝らんでええ、俺も悪いねん。」


あ「私…ちゃんとわかって、たの。
　 真司郎が、私の事、大切に…してくれてる、
　 の。
　 だけど、あの人がっ…―――。」


―――あの人？あの人って誰…。


真「…あの人って誰なん。」


聞くけどAは口を噤んでそれ以上何も言わず、首を横に振るばかり。


誰かに何か言われたんか？と、ふと胸の中をよぎるけど、今はそんな事どうでもいい。


真「…誰かに何か言われたんかもしれんけど、そ
　 んな行為がなくても嫌いになったりせえへ
　 ん。
　 それに、何があっても離さへんって、言う
　 たやろ？」


繋いだ手を握り締めて伝えると、また涙がこぼれ落ちてくる。


またしても指先じゃ追い付かんくて、袖口で拭ってあげると余計ボロボロと泣きだしてしまった。

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