繋いだ手3

ブーケ ページ31

実彩子side


今日は一生に一度の結婚式。


初めは緊張していた私と隆弘も披露宴が進むにつれてその緊張もほぐれて、たくさんの人に祝福され、愛する隆弘と幸せな時間を過ごしていた。


披露宴も終盤に差し掛かり、あとはブーケトスを残すのみ。


だけど、私はブーケトスはしない事にしたの。


それにはきちんとした理由があって、その事には隆弘も賛成してくれていた。


司会「それではここでブーケトス、といきたい
　 ところなんですが、隆弘さんと実彩子さ
　 んからご要望を頂き大切な方にお渡しし
　 たいと言う事ですので、お名前を呼ばせ
　 て頂きます。
　 AAさんと與真司郎さん、前へ
　 出てきて頂けますでしょうか」


司会の方にお願いをして2人の名前を呼んでもらうと、Aと真司郎は呼ばれると思っていなかったのだろう、お互いに顔を見合わせて驚いた顔をした。


私は隆弘と結婚すると決めてから準備を進める中でブーケは2人に渡したいとずっと思ってきた。


ブーケを受け取った人は次に幸せになれると言われているよね？
私はAと真司郎にこれから先もずっと2人で仲良くしていてほしいし、幸せになってほしいと願っている。


普通なら独身女性に集まってもらってブーケトスをするのが一般的だけれど、私はどうしても2人に渡したかったから今回司会者の方や担当の方に相談して、直接ブーケを渡す形を取らせてもらった。


隆弘にとっても大切な2人だから私の考えに賛同してくれたんだ。


こんな時でも手を繫いで前に出てきてくれた2人は、壇上にあがると私達2人の前に来てくれた。


Aの瞳は潤んでいて今にも涙がこぼれ落ちてしまいそう。


今日だけじゃなく、Aは報告をした時から何度も瞳を潤ませては自分の事のように喜んでくれたとっても心が綺麗で優しい子。


そんなAをからかいながらも愛しそうな瞳で見つめている真司郎も私にとって大切な人で、大好きな2人。


実「A受け取ってくれる？
　 次はAと真司郎が幸せになる番だ
　 よ、だからこれは幸せのバトンね。」


私はカラードレスに合わせて作って貰った紫を基調とした淡い色の可愛らしいブーケをAに手渡すと、Aの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。


あ「実彩子…ありがとう。」

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