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「どうしたん?
なんか、病んでるやん。」
頭上から降ってくる声に
顔を上げると
そこには何故かどこかで見たことある
ジャージを着ているしげが立っていた。
「あれ?そのジャージ…」
「お前、彼氏いるん?」
濡れてる髪をタオルでゴシゴシと
掻きながらそう言ってくるしげ
彼氏の言葉にピンときた。
あぁ、それ、
「元彼のやつや!」
思い出した。
なんか懐かしいなぁなんて。
「なんで元彼の服がまだあんねん
何ー?引きずってんのー?」
なんて、いつもの調子で言うしげ。
そうだよね。
しげは私に彼氏いようがいまいが
どーでもいいもんねぇー
なんてひねくれながらも。
その元彼は大学生のときに付き合ってて
まぁ、私が好きになれなくて別れて
片付けようと思っても社会人1年目に家のことをやっている余裕は無くて
そのまんまにしてたことを思い出す
「んーん。ぜーんぜん。」
申し訳ないけど全く。
だって、しげだけやから。
なんて続けて言ってしまったら
変わらないはずの関係が変わってしまう。
だから言わないけど
「お前もさぁ、付き合ったりするねんな」
「……うちの事なんやと思ってんの?」
そんな私の返しに笑い出すしげ
「いやーさぁ、学生の時付き合ったりとかなかったやん?そーゆーの興味ないのかと思ってたから」
そう言いながらソファーに寄りかかりながら
床に胡座をかくしげ。
寝そべったままの私はしげの濡れた髪が
目の前にあって
なにこれ、緊張するやつやん。
「近いねん。あほ。」
そう言いながらも離れたくない。
しげの近くには痛い。胸が痛いけど。
「んー?」
そう言いながら思いっきり首を降るしげ
案の定濡れた髪の雫が全部私にかかる。
濡れた私の顔を見て
手を叩いて笑い出すしげ。
おかしなところにできる
頬の笑窪が変わってなくて安心する。
そんな笑窪を人差し指でそっと触ると
「なんやねん」
そう言うしげに
「変わってなくて安心した」
そう言う私はなんだか瞼が重くなってきた。
馬鹿馬鹿、寝るな。
折角、しげに会えたのに…。
「俺ー?変わってないでぇ。」
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作者名:kaname | 作成日時:2017年3月22日 1時