あなたしか見えなくて。(赤) (ページ11)

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「ま、作ったからちゃんと食べろよ！」

何故か大袈裟に私のことを
指さしながら言うしげは立ち上がって

私の部屋にかかっている時計を見ながら

「俺さぁ、もうそろ優衣の引越しの荷解き手伝いに行くからさぁ、」

そんな優衣ちゃんのことを話すしげに

あれ…？

「同居してへんの？！」

少しだけ、いや、大分気になっていた
優衣ちゃんとの同居。

今の言い方だとなんだかしてないみたいな…

「してへんよ」

気になっていた答えはあっさり返ってきた

「え？付き合ってるのに…？」

「おん。そやで」

「へぇ、そうなんや。」

おい、ニヤけるな。ニヤけるな自分。
なんだか嬉しい私の心。

嬉しいというか
安心したというか。

まぁ、付き合っていることには
変わりないんやけど。

「付き合ってるからって
同居せなあかん！なんてルールないやろ？」

そんなこと言うしげは
先ほど同様真剣な眼差しで私にそう言う。

こういう風に言う時は
入って欲しくない時

これ以上しげの心の中に入ってはいけない

しげは小さな頃からそうだった。

1番近くにいた私だけど
しげにはどこか壁があって

全部を話さない。

どんな人にでも自分を全部出さずに

しげの中で自分の中に閉まって置きたい
気持ちが必ずあって

それを知りたくて聞き続けたら

お前さぁ、あんまし入ってくんなや。

そう、言われた中2の夏。

すごくショックで忘れたことない。

「まぁ、そうやんなぁ！」

こういうときは笑いながら受け流す。

これ以上は聞かない。