【文スト】人工信者【中原中也】

参ノ壱 ページ7

然し、自称謎の女性異能力者の関係者に私達が会えたのは、結局夜中の三時だった。


忙しかった訳では無い。どちらかと云えば何時もより事務仕事は少なかった。






＿＿理由は、その関係者の「『就寝時』にしかコミュニケーションが取れない」と云う情報を縢から得ていたからだ。









「就寝時、と云うより昼間の状態が鳴りを潜めた時と云った方が正確かも知れません。

其の時間は必ず夜中。一度大人しくなった後、其の人はやっと我々が理解出来る言葉を発します。」



其の人物を拘束してあると云う地下牢への道すがら、縢は昼間語らなかった詳細を話した。





「異国の言葉ですか？」



「いえ、異国の言葉と云うより…屹度あれは意味を成さない『声』でしょう。」



「精神の錯乱状態にある…というのか？」



「其れに近いです、昼間は。」






ガチャンと重い音を立てて、縢は地下牢の頑丈な錠を外した。




「何時『起きる』かは毎度不定期です。一定の距離を保って、十分に注意して下さい。」






そう云って、縢は一つの牢の檻を開けた。









其の人は、起きている様に見えた。

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