拾玖ノ参 ページ45
一方その頃。
「では、失礼します。」
簡潔に要件を話した後、『現中原付き幹部補佐』は世間話もすることなく執務室を出て行った。
完全に心を閉ざした様子に、部屋の隅で何となく気配を殺していた縢はふっと肩の力を抜いた。
何も知らない野次馬は姑にいびられる嫁の関係のようだと噂するが、
実際には嫁は旦那にすっかり愛想を尽かしてしまっているらしい。
仕方なく来ている、と思っているのを隠す気もないのがありありと分かる。
「結局、彼の異動は中々ありませんね。」
『幹部補佐』という役職上、毎月何かしら此方へ用ができるらしい。
その度Aが会議で外しているタイミングを見計らってやってくる姿は、縢には少し哀れに見えた。
「奴自身は何も問題を起こしていない、ってのが表向きだ。そうなりゃ互いに面子ってもんがある。し、俺の下に置いておいた方が都合が良い。」
ポスッと音を立てて背凭れに沈んだ中也は、疲れた様に眉間を揉む。
其の言い回しに、縢は小さな違和感を覚えた。
「………表向き?」
「…あー、縢には云っても良いかも知れねぇな」
中也は執務机に肘をつき、
「…此れ、Aには云うなよ。」
秘め事を話す時特有の、シン、とした空気が辺りを包んだ。
縢は蛙になったような奇妙な感覚を覚えながら、努めて極自然に口を開いた。
「あの爆弾書類の件、ですか?あれは、綿密に仕込まれた時限爆弾でしたよね?」
「ああ。だが後に梶井から報告があった。肉眼ではほぼ判らないが、封筒のフラップに致死性の神経毒が塗られていたそうだ。
遺体に痕跡が残らない型だったらしい。」
「えっ」
「爆弾はそう安っぽい物でも無かったから、爆弾の犯人が態々毒を塗ったとは考え難い。となると犯人は自ずと絞られる。」
「…真逆、彼が?」
「まァそうなるわな。詰めは甘いが悪くはねえ。」
そう云うと、中也さんは悪戯っ子の様にニンマリと嗤った。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
本日の戦利品
中也さん(激昂)の写真
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空豆火月(そら豆)(プロフ) - エミリーさん» wやっとこさやわwこれからも亀更新やわ。 (2020年3月23日 11時) (レス) id: 5da4921e9f (このIDを非表示/違反報告)
エミリー(プロフ) - 千風やで!!! うれし!!! 更新超待ってた!!!!! (2020年3月23日 11時) (レス) id: 9a38a6fda6 (このIDを非表示/違反報告)
そら豆(プロフ) - 千風さん» 夢主はガチストォカァだからね。誰もさして突っ込まないけど。諦めてるけど。 (2019年1月26日 14時) (レス) id: a1dcc5c8f0 (このIDを非表示/違反報告)
千風(プロフ) - シリアスクラッシャー降臨やな。たくさんの中也さんてww (2019年1月25日 20時) (レス) id: d4838ee308 (このIDを非表示/違反報告)
そら豆(プロフ) - 千風さん» ふふふふふふ。愛は隠さないって云うのがモットーなんです!by夢主 (2018年6月1日 7時) (レス) id: a1dcc5c8f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空豆火月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2018年3月5日 18時