拾捌ノ壱 ページ40
車内には、泥のように重い沈黙がどっぷりと沈んでいた。
普段狂ったように直属の上司を追いかけ続ける先輩は、どうやらなけなしの優しさを絞り出し、運転席の此奴…鷹喜結斗を呼んだということは他ならぬ鷹喜から聞いた。
縢は呆然と前方の信号を眺める。赤だ。
特に急いでもいないのに、なんとない苛立ちが過ぎる。
彼女のお節介としか言い様が無い暴挙に関しては後日、なるべく早いうちに話し合うことにするとして、問題は今。
今この状況を如何するべきなのか、如何受け止めるべきなのかすらわからなかった。
なんせ未だハッキリとした覚悟は出来ていなかったとはいえ、恋人である鷹喜と距離を置く、最悪別れを告げるという考えを口にしたばかりなのだ。
彼が其の考えを既に耳に入れてしまった可能性も捨てきれない。
それなのに平然と世間話を振れる程、縢は図太い男ではなかった。
(…如何しろって云うんだよ…)
無意識にシートベルトを握り締める。
鷹喜の息遣いが耳に直接届いているような気分だった。
目線は決して向けなかったが、視覚以外の感覚全てで鷹喜の様子を伺っていた。
「…慎也さん。」
「っ」
だから、声を聞いて思わず肩が跳ねた。
そして、なんて不安気な声をしているのかと驚いた。
「話したいことも聞きたいことも山程あります。
でも先に一つだけ。俺は慎也さんを離せませんよ。」
「え」
矢張り彼女は話していたのか。
さあッと血の気が引くのを感じたが、続いた鷹喜の言葉は予想を裏切るものだった。
「慎也さんのことだから、一人になりたいだとか、そういう、俺を邪魔だと思うことがあると思うけど、でもごめんなさい。俺は慎也さんを離せません。」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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革ベルト
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中也さん(激昂)の写真
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空豆火月(そら豆)(プロフ) - エミリーさん» wやっとこさやわwこれからも亀更新やわ。 (2020年3月23日 11時) (レス) id: 5da4921e9f (このIDを非表示/違反報告)
エミリー(プロフ) - 千風やで!!! うれし!!! 更新超待ってた!!!!! (2020年3月23日 11時) (レス) id: 9a38a6fda6 (このIDを非表示/違反報告)
そら豆(プロフ) - 千風さん» 夢主はガチストォカァだからね。誰もさして突っ込まないけど。諦めてるけど。 (2019年1月26日 14時) (レス) id: a1dcc5c8f0 (このIDを非表示/違反報告)
千風(プロフ) - シリアスクラッシャー降臨やな。たくさんの中也さんてww (2019年1月25日 20時) (レス) id: d4838ee308 (このIDを非表示/違反報告)
そら豆(プロフ) - 千風さん» ふふふふふふ。愛は隠さないって云うのがモットーなんです!by夢主 (2018年6月1日 7時) (レス) id: a1dcc5c8f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空豆火月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2018年3月5日 18時