【文スト】人工信者【中原中也】

拾漆ノ弐 ページ39

…ここ数年、マフィアに所属してから、私は情と言うものを学んだらしい。




良き上司の下に付き、その背を見ながら部下を持つ内、誰かの世話を焼くことが出来るようになった。



中也さん譲り、等と言ってしまうと、烏滸がましさで死んでしまいそうだけれど。



「慎也さんは？」



強張った顔の鷹喜に微笑みかける。



頭を冷やすと言ったっきり10分は帰ってこない縢は、この真っ直ぐな男の言葉を待っている。




どうしようもない漠然とした不安の答えを待っている。





「すぐ来ますよ。縢君の心を護るのは貴方の様な人の役目なんですから。」




彼には、縢が抱えてしまった不安を、本音を伝えた。




伝えると云っても一部でいい。


絡まっている部分さえ教えれば、きっと鷹喜は元通りに解いてきれいに結い直せるだろう。


其れができるから、この男は不安になる程のを微温湯(ぬるまゆ)創り出せたのだから。要は「よく分かっている」のだ。




彼等に足りないのは言葉だ。


彼等が共にした長い時間は、言葉を減らし、中途半端な信頼を与えてしまった。




それでも、取り戻すことはできる。




鷹喜の目に力が入る。
その目は悲しみでも怒りでもましてや諦めでもない、何かに対する決意の目だ。






─そろそろ縢が帰ってくるだろう。



適当な理由をつけて先に帰る連絡を彼の携帯に入れる。無用心にも、置きっぱなしの彼の鞄が小さく震えた。



嗚呼そうだ、お代は彼に払って貰おう。屹度これ位は許される筈だ。



｢では、｣と席を立つと、鷹喜は深く礼を返す。


カランコロン、と、扉は優しい音を立てた。






扠、随分と格好付けたけれど私は如何やって帰ろうか。


頭の中で近くの丁度いいセーフティハウスで検索をかけるが、残念ながらヒットする場所は無い。



…随分時間は過ぎたけれど、相変わらず月は綺麗だ。


考えなしの自分に苦笑しつつ、私はタクシーか手頃なホテルを探して歩き出した。
両方まだ見当たらない









――高羽彩が指定した期間まで残すところ25日。

未だ進展は無い。

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• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーアイテム

革ベルト

本日の戦利品

中也さん(激昂)の写真

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