【文スト】人工信者【中原中也】

伍ノ壱 ページ13

「ん…」という小さな呻き声がして、白い寝台の蒲団が動いた。

其れと共に私は体を硬くする。



「お目覚めですか中也さん。お早う御座います。」



起き上がった中也さんは、くあ、と一つ欠伸のような声を上げる。

『ような』としか表現出来ないのはどうか許して欲しい。何せ私の今の体勢では中也さんの美しい顔も体も見られないのだ。

然し不満は無い。これも自ら定めた大きな罰なのだから。


そんなことは知りもしない中也さんはゆっくりと起き上がると、意識をハッキリさせるように頭を何度か横に振った(という気配がした)。


と、何となく状況を飲み込んだらしく私を目に留める。と、



「ああ…？お早う…っておい？！どうしたァ？！」



大きな声を上げた。



「どうされましたか？まだ体調が優れないなら、未だ寝ていた方が…」


「厭、其れは大丈夫なんだが、なんで土下座してんだA？！」

どうやら中也さんは私の今の体勢に驚いているらしい。
両手を床に付け、頭を低く下げ、体を小さく折り畳む。
即ち土下座の体制の私は、額をより強く床に擦り付けた。

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