肆ノ壱 ページ11
『犯罪係数オーバー114・執行モード・ノンリーサル・パラライザー・執行対象です・対象に触れて・制圧して下さい』
頭の中で機械地味た声がする。
紛れも無い、自分の声だ。
あの日から聞こえる、大嫌いな、もう一つの___
「すみません中也さん」
小さく呟いてから、拳を作り終わる直前の中也さんの手を制する形で自分の手を添えた。
と、触れた箇所から青い文字の羅列が展開する。
其の途端、中也さんがガクリと膝から崩れ落ちた。
直ぐに縢が後ろから支える。
「医務室に運んで差し上げて下さい。鍵は掛けておきますので。」
私の言葉に頷くと、縢は中也さんを連れて牢を出て行った。
勿論牢の鍵を私に預けることも忘れずに。
薄暗い牢には、私と、髪の乱れた彼女だけが残された。
「異能力…触れた相手に外傷を与える…『PSYCHO-PASS』?…嗚呼、そう、貴女が『深見A』なのね?」
「…はい。その通りですが、何か?」
彼女は憐れむような目を私に向けた。余り向けられて気持ちの良い目では無い。
眉間に皺を寄せるも、彼女の目は何かを考える様に下の方を向いてしまっていて気付かれない。
「…此れも、何かの縁なのかもしれないわね…」
ぽつりと小さく呟くと、彼女は目線を私に戻し、真剣な顔付きで口を開いた。
先程まで濁っていた目が、少しだけ光った。
「気を付けて。あの女に渡した資料の中に、貴女の情報があったわ。何に使うのかはもう忘れて仕舞ったけれど、貴女が何かしらの標的(ターゲット)になる可能性は十分にあるわ。貴女にとって危険な何かの。」
彼女の真剣な目に射抜かれたように動けなくなった。
標的?私が?
なんの目的で?
彼女がもう忘れている内容の疑問がいくつも浮かんで、消えることなく心の奥底に沈んで染み込んだ。
「何かしらの…?例えばどの様な?」
「…例えば…
私と、同じ目に遭うとかね?」
途端に、ゾクリと背中が粟立つ様な感覚がした。
自分を失う代わりに、異能力が強化される異能力。
異能力に支配され、自分自身は無へと還る。
異能力のトリガーも分からない。
ほぼ無知の状態の今、其の女性と対峙して、若しも彼女の警告が現実になったとしたら?
その異能力を避けられる可能性は、何処までも零に等しい。
…そうなれば、私は屹度無へと還るのだろう。
始まる前に。消えて無くなる。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
本日の戦利品
中也さん(激昂)の写真
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空豆火月(そら豆)(プロフ) - エミリーさん» wやっとこさやわwこれからも亀更新やわ。 (2020年3月23日 11時) (レス) id: 5da4921e9f (このIDを非表示/違反報告)
エミリー(プロフ) - 千風やで!!! うれし!!! 更新超待ってた!!!!! (2020年3月23日 11時) (レス) id: 9a38a6fda6 (このIDを非表示/違反報告)
そら豆(プロフ) - 千風さん» 夢主はガチストォカァだからね。誰もさして突っ込まないけど。諦めてるけど。 (2019年1月26日 14時) (レス) id: a1dcc5c8f0 (このIDを非表示/違反報告)
千風(プロフ) - シリアスクラッシャー降臨やな。たくさんの中也さんてww (2019年1月25日 20時) (レス) id: d4838ee308 (このIDを非表示/違反報告)
そら豆(プロフ) - 千風さん» ふふふふふふ。愛は隠さないって云うのがモットーなんです!by夢主 (2018年6月1日 7時) (レス) id: a1dcc5c8f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空豆火月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2018年3月5日 18時