【完】弱くて脆い私たちは 3〔Juri.T〕

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樹さんは伶菜さんと自分の母親の犯した罪にひどくショックを受けて、あの後何度もわたしに謝り続けた。
こっちが辛くなるほどに。


それから数日後、父がわたしに会いにきた。
事実を知った二人は一緒に居ることを諦めたらしい。
離婚。とんだ数年間。マリオネットのようなわたし達。
伶菜さんは関西にある精神科が有名な病院でゆっくりと治療していくらしい。
彼女もまたマリオネットだ。わたしと樹さんと同じように。



「一緒に行かないの？」
「それは…。」
「離婚しても伶菜さんの父親はあなたでしょ。だったら一緒に行かないと。」
「Aは…、」




不思議なくらい気持ちはスッキリと晴れていた。強がりでもなんでもない。
だから今度はわたしから別れを告げる。一方的じゃなく、ちゃんと向き合って。



「いい。わたしには…いらない。」





「でも…この街に連れてきてくれたこと、すごく感謝してる。
ありがとう。」


わたしは結局すべてを失ったのかもしれない。
父も母もおばあちゃんも、家も、車も。
でも本当にわたしを包み込んでくれるものはそばにある。


この街に来てたくさんの愛にも優しさにも触れた。
すべてを失って、そして手に入れた。
それが結果オーライというわけじゃない。
もちろん失いたくないものもたくさんあったから。


でもお母さんも、おばあちゃんもあの家をなくしてもわたしの心の中にずっと居てくれる。
二人はわたしを強くさせてくれる存在には変わりない。
それに千紘と慎太郎は変わらずにあの町にいて、わたしを遠くから見守って支えてくれる。
だからもう悪夢の町だなんて思わない。わたしの大切な場所。

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