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『A…話したいことあんだけど…いい？』
わたしは千紘と慎太郎に泣きじゃくる顔を隠そうともしないで「話してくる」と言って樹さんの車に向かった。
「…」
『…』
この車の後部座席に初めて乗った。
座り心地が良いのは車だけじゃなくて…この人が隣にいるから。
『A…悪かった全部。
お前から父親を奪ったことも、本当のことを隠していたことも、全部悪かった…。
お前を、Aを好きになって全てを話さないといけなかったのに、出来なかった…ごめん。』
弱々しく呟く樹さんは繊細で。
ううん、多分この人はずっと繊細で弱さも痛みも人一倍持っている人なんだ。
その鋭い視線と鎧を纏って自分を守るんじゃなく、自分から相手を守るために自分から傷つきに行く人だ。
そして一人でその苦しみを背負ってきた人だ。
誰にも言えずに…。
『もう傷つけないって、守るって約束するから…もう一度戻ってきてくんねぇ？俺のとこに。』
「…」
『一緒に…居たい。お前とこれからもずっと。』
「……本当にいいの？」
『…こんなに人を好きになったの初めてだっつったろ？
それにお前しかいねぇよ。
俺の中でお前以外は…もう見えねぇんだって。』
車内の静けさで聞こえてくる言葉が振動してわたしの耳に直撃する。
わたしも同じだ…。
きっとこれが最初で最後の恋だ。
もうこの腕をこの手を、この弱くて繊細で脆い人を絶対に離さない。
「…樹さん、好き……ずっとこれからも」
『…A』
「一緒にあの街へ帰りたい。」
そう言った途端ガバッと勢い良く腕の中に取り込まれた。
わたしが世界で一番安心する場所。
樹さんの背中に手を回すと小さくだけど震えていた。
きっと全てを知ってしまったわたしを迎えに来ることだって相当怖かったはずだ。
なのにわたしがあの街を出てたった数時間後には彼は今目の前にいる。
怖さを投げ打ってでもわたしを迎えにここまで来てくれた。
全ての悪夢の町へ。
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くらら(プロフ) - 椿さん» 読んでくださりありがとうございます。そして申し訳ありません。大事な部分なのに非公開になっていて今ちょっとびっくりしました。多分物語の展開が読みにくかったんじゃないかと。大変申し訳ありませんでした。私もこの二人がいつまでも幸せでいることを望んでます^ ^ (2021年10月3日 20時) (
レス) @page26 id: f815a3c4d3 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - 完結おめでとうございます。1本の映画を見たような、情景が浮かんできて、お話の世界ではあるけれど、二人が幸せであるようにと願うばかりです。91話が消えてしまっているようで、また読めたら嬉しいなと思っています。 (2021年10月3日 19時) (レス) id: 016a2653a3 (このIDを非表示/違反報告)
くらら(プロフ) - ひなたさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。今週には完結します。どうぞエンドロールまでお楽しみいただけますよう、がんばりますね！ (2021年9月28日 21時) (レス) @page16 id: f815a3c4d3 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - くららさんのお話大好きです！涙が止まりません！ (2021年9月28日 20時) (レス) @page15 id: 62306c8a0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Clara
| 作者ホームページ：https://www.instagram.com/st.clara.6/?hl=ja
作成日時：2021年9月20日 20時
