君のヒロインになるためには

☆ ページ32

_Sagara Side_

最近知り合った紅校の女。
俺のこと怖ってたくせに
手当したり、家まで送ったり変な奴。



「また見られてるぞ。」


「あ？」


サトシに言われるまで気づかなかったが
たまにすれ違うと俺に話しかけるわけでもなく
ただ見つめてくるだけ。



「声かけてやらないのか。」


「もう今井の馬鹿から俺がどんな奴か聞いただろ。
今更声かけたって逃げてくだけだよ。
あいつビビりだし。」


「あぁ、そういうことか。」


口に出さないがサトシは
俺がAを好きだと思っているらしい。


そんなわけねぇのに
ただ反応が面白いし、もし紅校とやりあうとき
いい手札になりそうだと思ってるだけだ。
現にあいつはだれが見てもわかるくらい今井に溺愛されている。


「東京もんが調子に乗ろやがって。」


東京のヤンキーが喧嘩売りに来た時。
やつを探し回ってると
絡まれてるAの姿が見えた。

あいつをいじっていいのは俺だけなんだよ。
さわんじゃねぇ。
「


「今井先輩…？」


「残念だがお前の好きな馬鹿じゃねぇよ。」


せっかく助けたのに
あいつの口からは俺の名前が出てこなくて
なぜかイラつきが止まらなくて

「猛くん…？」

でもあいつに名前を呼ばれたら
すぐに機嫌なんか直った

「あのバカに間違えられたのは不服だが
名前ちゃんと呼べてるから許してやる。」


振り返ると
あいつの長い髪は切られてて頬には怪我をしていた

「おめぇら、女によってたかって
恥ずかしくねぇのかよ。」

この時に分かった
俺らしくないけどな。

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