君のヒロインになるためには

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「へ…？」


「いや、あのな…。」


なかなか言い出さない今井先輩を見かねてか
谷川先輩が私に近づき顔を覗き込んだ。


「ごめん、俺が今井さんに言ったんだ。
この前、怪我した相良支えて、うちまで行ってただろ？
それに最近、一緒にいても相良がいたらずっと目で追ってるし。」


ばれていたんだ。
いや、隠していたつもりではなかったけど
なんとなく言いずらかった。


「もし、何にもないならそう言ってくれ。」


今井先輩の握る手が強くなる。
谷川先輩も心配そうに私を見つめる。


「自分でもよくわかりません…。
猛くんはあの日助けて以来今日まで話したりしなかったし…。」


猛くんと呼んだ時に、また力が強くなった。


「頼むから…さがらとはもう関わるな。」

今井先輩は体を起こして私の肩を両手で掴むと
少し涙ぐんだ目で目線を合わせて
すこし荒れた息を整えた。


「Aは知らないかもしれないが
あいつは三橋なんかよりよっぽど卑怯で凶暴だ。
今はなにもされてないかもしれない。
でも俺と喧嘩になったとき、あいつは
お前に危害を加えて俺を陥れようとするかもしれないんだ。」


今までに見たことのない真剣な表情。
声も震えていて
それでいても私から目を離さない。


「お前を初めて助けたあの日
あんな思いも表情も、もうさせてくないんだ。
頼むっ！！もう、相良とは関わるな…っ。」

今井先輩の目からは
涙があふれ出ていた。

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