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「本当によろしいのでしょうか、私達がお供なんて…」
「いいんじゃない。日本の杜王町?だっけ?楽しそう。スージー様にお土産買わなきゃ」
そう言いつつしっかり荷物を詰めたキャリーケースを持っている。幽波紋使いにしか見えない狛犬が彼女のスカートの中から顔を出した。
襟を詰めたようなメイド服。ロングスカートは義足を隠すのに丁度いい。
右耳に開いた3連のピアスは、黒い宝石が光っており、それがDIOの黒子と同じ位置であることは彼女しか知らない。
「パスポートは持ったな、二人とも」
「はい」「あーい」
Aは嬉しそうに見せびらかして興奮気味に顔を赤らめてサウサンに個人情報が載った面を見せつけた。
「見ろサウサン!私の戸籍!」
A・ジョースター。性別F。誕生日は彼女がジョースターに生まれ変わった日。サウサンは微笑んで「私も同じだしー」と言って肩を突き合せた。余談だが、サウサンは彼女より3つ年上だった。SPのくせにハイヒールを履くようなアウトローレディ。
これが平和、これが幸せ、絵に描いたようなシンデレラ。
二人が笑っているのを見て承太郎はまた優しく微笑んだ。
「今でも空条にすればよかったと思っている」
「空条・A・ジョースター?」
「苗字の欲張りセット笑う。仕方ないよ、承太郎様じゃんけんに負けたんだから。Aちゃんは泣き過ぎて失神したし」
「知らない間にうなじに星の入れ墨があったのは今でも光栄すぎてトラウマでございます」
従者という立場でありながら、あっけらかんとして笑う二人を、承太郎は妹のように愛していた。
ジョセフが杖を突きながら手を振った。風を切るモーター音が突き動かすは白い空のイルカ。搭乗を催促するアナウンスが鳴り響いて、Aはジョセフに深々と頭を下げた。
「行って参ります。必ずやご主人様のお孫様をお守りいたします」
ジョセフの手が彼女の頭に触れて、痙攣のような震えがありながらも撫でた。
「行ってらっしゃい。サウサンも」
「死ぬなよジョセフ様、じゃーね」
「承太郎も」
「ああ。行ってくる」
「今日は早いな」
「飛行機に乗ってるんだ。日本に行くって。たくさん土産話を作れるな」
「また誰かと友達になるのか」
「それは分からんが…きっとお前が知らない世界を知って、それをお前に伝える。それだけじゃダメなのか」
「…お前は傲慢だ」
「なはは。さて、今日は、どんな話をしようか」
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☆夢腐女子☆(プロフ) - 苗字の欲張りセットは笑いましたw面白かったです!他の作品も頑張ってください!(*^^*) (2021年5月30日 7時) (レス) id: a9ee6f3cf2 (このIDを非表示/違反報告)
3a - めっちゃ面白いです!!続きが気になります!頑張ってください! (2021年5月16日 3時) (レス) id: 59e168782f (このIDを非表示/違反報告)
ソーサラー(プロフ) - 靜藍さん» ありがとうございます!頑張って完結させますね!! (2021年1月2日 16時) (レス) id: 1368eb388d (このIDを非表示/違反報告)
靜藍(プロフ) - め、めちゃくちゃ面白いですッッッ!!!前作?のディオの妹の話もそうですが、私のドタイプのお話でした!!(*>∇<*)続きとても楽しみに待ってます!!! (2020年12月6日 19時) (レス) id: 114c5f5474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソーサラー | 作成日時:2020年10月22日 23時