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「…A…」
車が電柱にぶつかって止まった。浮気現場を目撃されたくらい脊髄がぶちぶちと縮み上がった。冷や汗なんてものではない。目の前に立つDIOが血塗れで、ぼろぼろだった。
「DI、」
なんだろう、その傷は痛むかとか、何があったんだとか、色々聞くことはあるのに、口が震えて血の気が引く。彼が一歩近づくたびに一歩下がって、何時しかくるぶしにジョセフの足が当たるくらい、店の中に二人がすっぽり収まった。
「ふ、ふははは、あはははは!!」
DIOが突然無表情を崩して、朗らかに笑い始めた。それから優しい手つきでシルクハットを取って、放り投げ、上着に手を掛けてそっと脱がした。体が、固まって動かない。
「全く、貴様はこのDIOだけに愛されていればいいものを」
優しい手つきで、血まみれの手で、頬を撫でるそいつが、なんだか知らない人みたいで。されるがまま抱きしめられる。
「このDIOのものだ、お前の全ても、ジョースターの血も」
「…まさか、お前!!」
フラッシュバックしたDIOの食事風景。
「ああ…馴染むなあ…ジョースターの血は…」
「離せ!やめろ!!私の主人だ!!頼むからぁ!!」
「ふふ、ふふふふ…あはははははは!!!」
DIOの腕の中で藻掻いても腕の一本も動かない。ひたすら足をばたばたと暴れさせて、DIOが立ち上がればそのまま浮かび上がってしまって。
「あ、ああ、」
振り向けば、枯れ木のようにしぼんでしまったジョセフ。それに気を取られてDIOの動きを見ていなかった。彼は彼女の細首を掴んで壁に押し付けた。
「あ、が、ひゅっ」
「ジョセフは死んだんだ」
「ひ、ぅ」
「お前が愛してくれるんだろう、このDIOを。ああ、泣くんじゃない。お前を自由にしたくなくなる」
涙が頬を伝った。生理的なものか、感情的なものかわからない。息が、つまる。DIOの腕をひっかいている手に力が入らなくなる。
刹那、DIOの顔をめがけて椅子が飛んできた。その拍子に手が離れて、床に尻をついた。
「げ、ほっ、げほっ」
「Aちゃん!」
サウサンの声がした。それと同時にウォッチ・ドッグが腰の服を噛んで持ち上げた。手が床を擦った。そのまま外に連れ出される。床しか見えていない視界に、承太郎の靴が映った。

「DIO…てめえ…」
「ふん、承太郎。この老いぼれも最後には役に立つものだなあ」
「…」
「くれてやろう、ただの搾りカスだがなぁ!!!」
「こんなところを見せられて頭に来ねえ奴は居ねえよ!!DIO!!!」

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☆夢腐女子☆(プロフ) - 苗字の欲張りセットは笑いましたw面白かったです!他の作品も頑張ってください!(*^^*) (2021年5月30日 7時) (レス) id: a9ee6f3cf2 (このIDを非表示/違反報告)
3a - めっちゃ面白いです!!続きが気になります!頑張ってください! (2021年5月16日 3時) (レス) id: 59e168782f (このIDを非表示/違反報告)
ソーサラー(プロフ) - 靜藍さん» ありがとうございます!頑張って完結させますね!! (2021年1月2日 16時) (レス) id: 1368eb388d (このIDを非表示/違反報告)
靜藍(プロフ) - め、めちゃくちゃ面白いですッッッ!!!前作?のディオの妹の話もそうですが、私のドタイプのお話でした!!(*>∇<*)続きとても楽しみに待ってます!!! (2020年12月6日 19時) (レス) id: 114c5f5474 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ソーサラー | 作成日時:2020年10月22日 23時

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