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顔をべろりと舐められた気がする。そのまま顔を上げて、漸く自分が屋根の上で寝ていたことを思いだした。体を起こせば、夜の風から守るように帽子や上着が置き土産のように散乱していた。
「おっと」
バンダナが飛んでいきそうになって急いで捕まえる。
「…機械仕掛けの神ももう少しマシな演出をするぞ、なあウォッチ・ドッグ」
わん!と目の前の大きな犬は時計を咥えていた。そして、それをごくりと飲み下して、舌なめずりをした。最早何も言うまい。
「お前も、根っからのジョースター狂だな。さて…と」
バンダナをシルクハットに巻き付けて被った。パイプは上着のポケットに入れて、羽織った。どちらもサイズが合わないし不格好なのに、負けてはいけないと背中を押されている気がする。
さて、足を失くした現実に戻ってきたんだ、最後までキリストらしく、聖女らしく、ワルキューレのように勇ましく。ウォッチ・ドッグに跨って、ジョセフのもとへ下りた。
血塗れの主人を見るのはやはり心が折れる。ナイフが刺さったままで、血はもう乾いていた。
「…ん」
周囲の人間も様子がおかしい。皿の上には猫の首、コップの中には猫の足、燃えたテーブルクロスに僅かな血痕。
「そこのお前」
「ひ、ひぃ!」
目の前の店の店長らしい男を捕まえてフォークを眼球の目の前に突き付けた。突然上から降ってきた少女と巨大な白犬。店主にはただの白い犬に見えているらしいというのは、彼女は知らない。
「この惨状はどういうことか説明しろ、早く」
「あ、ああ、あの、それはわからないんです、一瞬でこんなことに、その後男が二人突然飛び上がって…」
常人には見えていなかった、となると、やはり幽波紋の能力。DIOの能力だ。でも、これだけの情報で特定するのは無理だ。有用性に富んでいてかつ無敵、でも無暗には使えない、何かしら制限がある。そこをつければ。
男を離してフォークをテーブルに置く。ジョセフのもとに行って引きずって店内に入れる。
「このお方は私の主だ、しかるべき団体に連絡をした後このご遺体は引き取らせてもらう。それまでここで管理していろ。代金は後から払わせてもらう」
「へ、」
「いいな?」
「はいぃ!」
その貫禄はスラムを治めた王たるもの。
まずは、そう、彼女を拾わないといけない。彼女が居ないと作戦どころかDIOが消されてしまう。
タイミングはそう、承太郎様とDIOが決着をつける瞬間。

近付く車、タイヤの焦げる音、そして、何かがゴミ箱をなぎ倒した。

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☆夢腐女子☆(プロフ) - 苗字の欲張りセットは笑いましたw面白かったです!他の作品も頑張ってください!(*^^*) (2021年5月30日 7時) (レス) id: a9ee6f3cf2 (このIDを非表示/違反報告)
3a - めっちゃ面白いです!!続きが気になります!頑張ってください! (2021年5月16日 3時) (レス) id: 59e168782f (このIDを非表示/違反報告)
ソーサラー(プロフ) - 靜藍さん» ありがとうございます!頑張って完結させますね!! (2021年1月2日 16時) (レス) id: 1368eb388d (このIDを非表示/違反報告)
靜藍(プロフ) - め、めちゃくちゃ面白いですッッッ!!!前作?のディオの妹の話もそうですが、私のドタイプのお話でした!!(*>∇<*)続きとても楽しみに待ってます!!! (2020年12月6日 19時) (レス) id: 114c5f5474 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ソーサラー | 作成日時:2020年10月22日 23時

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